卓上戦諸録(D16)

D16の卓上ゲーム記録

決め技の文脈

 実際のスポーツではなく、興行の戦いにおいて「決め技」の持つ威力は、その技の持つ威力も重要だけれども、観客にとってその技がその戦いを決定するに足る“納得力”を持っているかということで決まる。
 スタン・ハンセンのウェスタンラリアートとその他大勢のラリアートはその点で“高品質”武器と“+5武器”の差がある。顕著なのは猪木の卍固めだろう。あれは、猪木がふさわしい場所でふさわしいときに使ったとき、まさしく必殺の技となる。
#一昔前だと、三沢のフェイスロックやジャンボ鶴田のバックドロップ、馬場の十六文とブッチャーの地獄突きとかか。←古いねどうも。
 このキメ技の納得力は
 キメ技の納得力=(技固有の納得力+使い手の納得力)×使い手のその技を使う文脈係数+その時点での文脈補正
 で決まる。
 文脈係数ってのは、長期的なものでその技がどのようにして使われてきたか、どのようにその技を得たか、その技にはどのようなメタな意味が仮託されているのかなど。
 一方で、文脈補正ってのは、短期的なもので、今この技を使う理由や、技としての状態との相性、そしてこの一回の対決に導入されているメタな意味なんか。
 興行としての戦いは当日の戦い以上に、いかに長期的な文脈を当日の対決まで作り上げるかを含んでいる。話題つくりの上手な競技者は猪木の例を出すまでもないだろう。一方で、周囲が話題を作ろうとしてこけたのは今回のオリンピックの報道が記憶に新しい。
 で、プリキュア・マーブル・スクリュー(PMS)とラブシャワー・ピーチ(LSP)なんだけど。(ええ、前項の続きなんですこの項。ちなみにあんまりまじめに取られても困ります
 納得力では勝負にならない。
 PMSは10のダメージを叩き出すとしよう。使い手の納得力はなぎさとほのかの絆で納得でき10としよう。しかし、長期的な文脈係数は1.0〜1.5のあたりをうろついているように思える(何回も持ち出すけれど、昨シーズンのラストを見てずっこけたのは俺だけじゃないはずだ)。もちろん、この文脈係数はこの先どんどん上昇する可能性があるのであくまで現時点でと断っておく。文脈補正は回によっては高くなることもある。昨シーズンでの水族館の回はその例。
 一方、LSPのダメージは作画その他の微妙を考慮して5くらいだろう。使い手の納得力は能天気娘っぷりを考えてやはり低く5くらい。文脈補正は……新曲のときはえらく高いけどとりあえず、PMSの時と同様に保留しておく。だが文脈係数が高い(重ねて言いますあんまりまじめに取られても困ります)。
 これは、昨シーズンうまく〆られたか否かでしかないのはわかっているのだけど、LSP(というかぴっちの歌)には昨年1年を見事にまとめた実績がある。俺的には4クール分の重みをフルに生かした“×4.0”を許していいのではないかと。今後のシリーズ構成で、LSPはさらに強くなっていく可能性もあるわけで、今後差はさらに広がっていく。
 加えて、ピッチはこのあとのヒロインと相手役との絡みを考えれば、“使い手の納得力”が上昇してゆく。これは確信していいと思う。大きな物語として“人魚姫と王子のロマンス”があるのは大きい。
 
 つまり、世界観が揺らがない、腰が据わっている物語っていうのは積み重ねるに従って一つ一つの行動の納得力が増していく。一方で揺らぎがあると積み重ねた物語をうまく生かしきれないわけです。
 
 しかし、逆に言うと、プリキュアは予備知識なしで1回限り見たときの納得力はピッチピュアをかなりの割合で上回ると思います。ピッチの敷居の高さは事実だし。そして、ターゲットとなる年齢層が一年を通して物語を見、それを解釈する能力を持っているのかというのは俺にはわからないのです。
 
 ただし、長い物語としてみたとき、今のピッチは間違いなく今のプリキュアより面白い。
 そういえると思います。