卓上戦諸録(D16)

D16の卓上ゲーム記録

マルドゥック・スクランブル


 実はこんな時間に日記書いているのもこれを読んだせい。結局徹夜で読みふけってしまった。以降は実は感想でもなんでもない。まだ言葉に出来るほど固まっていないし、固まってしまえばそれは熱さを失った形骸に過ぎない。観想は多分、今この胸の奥でふつふつとたぎる興奮以外の何ものでもない。

 以下、雑想。

 復讐から始まる少女娼婦バロットの再生と成長。さらに補完から互いに独立しつつも、完全なものとなるバロットとウフコック。

 復讐の舞台たるカジノ「ブルー・エッグノッグ」は卵であり、そこからの再生というのもあるんだろうが、実のところ2巻から3巻半ばまでのカジノ場面は再生のための身体形成というよりも、遍歴して53人の善知識から教えを請うた善哉童子の方を思い出した。

 あとは、皮膚は外に露出した脳髄であるとか、周囲の情報を流れとして捉えるさまとかがなんとなく僕が考えるところの魔術っぽいとか。

 きれいにイメージの統一がなされているあたり心地よいけど、果たしてどこまでが作者の意図したものなのだろうか。途中から類推や相似構造に流されたりはしなかったんだろうか。それとも、そうした相似・対比を心地よく感じる自分がいるだけなのだろうか。

 全体としてみたら実のところ、歪だ。映像化2時間とか考えるとあんまり端正な構造じゃないかもしれない。けど、これが読めてしまうし、こうでなくてはと思わせる。これでいいんだ。

 けど、それでもルーレットのあたりは本当に必要だったかどうか。俺は好きだけどね。