卓上戦諸録(D16)

D16の卓上ゲーム記録

はじめに:まずはパーティ構成から

 今回のゲームデイで用意されているPCのうちわけは、制御役と指揮役が2人ずつ、撃破役と防衛役が1人ずつとなっています。したがって、標準的なパーティ構成としては、撃破役(モンク)と防衛役(バトルマインド)がほぼ必ず入るのに加えて、指揮役(ルーンプリーストとアーデント)と制御役(シーカーとサイオン)がそれぞれ1〜2人ずつ入ることになります。以下の解説もそのようなパーティを前提として書いていますので、ご注意ください。

パワー・ポイントとパワーの“増幅”について

 サイオニック系クラスのキャラクターは遭遇毎パワーを持たず、代わりにパワー・ポイントを使って無限回パワーを“増幅”することができます。今回のPCたちはそれぞれのパワーについて“増幅1”と“増幅2”の2種類の増幅のどちらか一方を行なうことができますが、“増幅1”の方は微妙なものが多い(特定の状況でしか役に立たないものや、そもそも効果が弱いものなど)ので、基本的には“増幅2”をメインに考えるべきです。
 6レベルのサイオニック・キャラクターは4パワー・ポイントを持っており、“増幅2”のパワーを遭遇毎に2回ずつ使用できます。つまり、遭遇ごとに3種類の遭遇毎パワーのうち2つを選んで使える(同じパワーを2回選ぶことも可能)と考えれば、それほど難しい話ではありません。

バトルマインド

 バトルマインドの防衛役としての能力は、(1)バトルマインズ・ディマンドで1〜2体の敵をマークする。(2)マークした敵が、君に隣接している状況で、君を目標に含まない攻撃を行なって君の味方にダメージを与えた時、マインド・スパイクでその敵にも同量のダメージを与える、というやや複雑な形式になっています。マークした敵がシフトで逃げた時にはブラード・ステップで追いかけることもできますが、マークした敵を常にバトルマインドに隣接させ続けることができるとは限りません。マインド・スパイクは「うまく使えたらもうけもの」ぐらいのつもりでいましょう。ダメージ源としてマインド・スパイクを使いたければ、hpに余裕のある味方が故意に(バトルマインドにマークされた敵からの)機会攻撃を誘発することも考えるべきです。
 このPCのそれ以外の特徴としては、高い【耐久力】ゆえの高いhp/回復力値/回復力使用回数と、近接基礎攻撃の弱さが挙げられます。ACもかなり高いので機会攻撃を恐れず敵集団の中に飛び込むことができるのですが、機会攻撃などで敵を足止めする能力はファイターほど高くないため、奥に突っ込みすぎると敵たちはバトルマインドを無視して後衛のPCに向かってしまうかもしれません。前線での立ち位置(特に1ラウンド目の移動)については他の前衛PCとよく話し合ってください。
 バトルマインドはバトルマインズ・ディマンドの増幅にもパワー・ポイントを使えます。無限回パワーの“増幅”の中で強いものは(雑魚が多い時か、1マスの押しやりが大きな意味を持つ時の)ブルズ・ストレンクスくらいしかありませんので、2体の敵をマークし続けるためにどんどんパワー・ポイントを使っていきましょう。なおその際には、「マインド・スパイクを誘発しそうな敵1体」と、「1ターンに攻撃ロールをたくさん行なう(=マークによるペナルティを何度も被ることになる)敵1体」を選ぶようにすると効果的です。
 バトル・リジリアンスとラス・オヴ・ザ・デストロイヤーは、トリガーが発生する条件がかなり限定的である反面、効果はかなり強いパワーです。自分のターン以外の状況でも気を抜かず、この2つのパワーおよびマインド・スパイクやフェザード・ステップのトリガーが発生していないかどうか常に気を配るようにしてください。
 理想的な1ラウンド目の行動としては、(1)移動アクション:なるべく多くの敵に隣接するマスまで移動する。機会攻撃の誘発も気にしない。機会攻撃を受けたらすかさずフリー・アクションでバトル・リジリアンスを使う。(2)標準アクション:一番先に倒すべき敵を適切なパワーで攻撃する。(3)マイナー・アクション:2体の敵をマークする。先ほど攻撃した敵とは別の敵をマークしてもよいことに注意。……のようになるでしょうか。

モンク

 モンクのパワーのうち、標準アクション(攻撃用法)と移動アクション(移動用法)の2通りの効果が書かれているもの(要するに無限回と遭遇毎の攻撃パワー全部)は、[闘法]というキーワードを持つ特殊なパワーです。これらのパワーを使用する際には以下のルールに従ってください。
 1ラウンド1種類:アクション・ポイントを消費しない限り、1つのラウンドには1種類の[闘法]パワーしか使用できない。追加のアクションを行なうためにアクション・ポイントを消費したなら、君は別の[闘法]パワーを使用することができる。
 別々のアクション:[闘法]パワー内の個々の用法は、使用に別々のアクションを要する。必要なアクションの種別はパワーの説明に書かれている。君は1ラウンド内に好きな順番で両方の用法を使用することができ、またあるラウンドには一方の用法のみを使用してもう一方は使用しないこともできる。
 あるラウンドに特定の用法を何回使用できるかは、そのパワーの種別(無限回または遭遇毎)および君がそのラウンドに行なえるアクションの種類や数によって決まる。たとえば、君は1つの無限回の[闘法]パワーの用法を、必要なアクションを行なえる限り、1ラウンドに何回でも使用できる。遭遇毎の[闘法]パワーを使用する際には、君はそのパワーの両方の用法を使用できるが、そのラウンドにそれぞれの用法を使用できる回数は1回ずつまでである。
 したがってモンクをプレイする際には、毎ターンの自分の行動を移動アクションと標準アクションのセットで考える必要があります。たとえば複数の敵に隣接されている状況で、機会攻撃を受けずに移動するためにファイヴ・ストームズ/五嵐波濤を使って2マスシフトしたなら、そのターンはファイヴ・ストームズ(または貧弱な近接基礎攻撃)以外の攻撃を行なえなくなってしまうからです(アクション・ポイントを消費したり、一日毎パワーを使えば話は別ですが)。
 もう1つの重要な特徴であるセンタード・フラリー・オヴ・ブロウズ/心央の連打は、モンクを撃破役たらしめている重要な追加ダメージ能力です。基本的には1体の敵にダメージを集中させて速く敵の数を減らすべきですが、ローグやレンジャーと違って攻撃をヒットさせた敵とは別の敵にダメージを与えることもできるため、雑魚を確実に始末したり、自分に隣接していないマスに敵を横滑りさせて自分の身を守ったりと、おもしろい使い方ができるでしょう。
 モンクは近接の撃破役としてはACが高い方ですが、このキャラクターは【耐久力】が低いため回復力も少なく、あまりダメージを受けるべきではありません。このパーティの他の前衛たちは皆【耐久力】が高めなので、敵の攻撃はなるべく仲間に引き受けてもらうようにすべきです。アイアン・マインド/鉄心のパワーも忘れず使い、なるべく被弾回数を減らしましょう。
 モンクの1ラウンド目の動きは、イニシアチブの結果によって2つのパターンに分けられます。
 モンクの行動順が早かった時は、モンク自身の移動能力の高さもあり、自由に攻撃する敵を選べる状況になっているでしょう。しかし、ここで敵陣の真ん中に突っ込むのは自殺行為です。真っ先に倒すべき敵が他の敵に護られていて、包囲される恐れなしにその敵を攻撃しにいくのが難しい場合は、行動遅延することも考えましょう。一方、戦場が広かったり高低差がある場合は、積極的に移動してセンタード・フラリー・オヴ・ブロウズ/心央の連打を有効活用しましょう。砲撃役や後衛の制御役を他のPCに近づくよう移動させたり、制御役PCの範囲攻撃に多くの敵が入るように敵の位置を変えたりできます。
 モンクの行動順が遅かった時は、すでに味方の攻撃によって敵の一部がダメージを受け、また戦線もある程度は固まっているはずです。一番大きなダメージを受けている敵を狙い、どの防御値を攻撃すればヒットしやすいかを推測し、攻撃目標以外の敵に攻撃されにくい位置に移動することも考えて、使うパワーを選びましょう。

ルーンプリースト

 ルーンプリーストのパワーのうち、パワーの文中に太字で“破壊のルーン”と“加護のルーン”という追加効果が記載されているものは[ルーン文字]という新しいキーワードを持つパワーです。[ルーン文字]に関する詳しい説明はキャラクター・シートをご覧ください。
 ルーンプリーストの回復パワーであるルーン・オヴ・メンディングは、追加で1d6ポイントしかhpを回復できない一方で、選択したルーンに応じて攻撃または防御にボーナスを与えることができます。これらの効果は戦闘終了目前になってからもらっても意味のないものですから、味方のhpが(回復力値+6)くらい減ったらすぐに回復パワーを使うようにしましょう。その方が戦闘が速く片付き、PCたちが受けるダメージの総量も減るはずです。
 ルーンプリーストは前衛型の指揮役であり、ACは高めです。しかも、このPCは【耐久力】を高くしているために回復力値も多いので、戦闘のたびに重傷になるくらいhpが減っても問題ありません。攻撃パワーは近接攻撃ばかりなのですから、“憤怒の戦鎚”を生かすためにも、一番先に倒すべき攻撃力の高い敵に積極的に隣接していきましょう。バトル・マインドがマークしている敵から故意に機会攻撃を誘発するのもよいかもしれません(もちろん、その敵の攻撃にダメージ以外のやっかいな効果が無いと分かっている場合に限ります)。
 ルーンプリーストの1ラウンド目の動き方としては、(1)一番先に倒すべき敵に隣接できるなら、隣接マスまで移動して破壊モードのワード・オヴ・ディミニッシュメントで脆弱性を与え、続く味方がとどめを刺せる確率を上げる。(2)敵との距離が遠い場合は、移動してからゴーリング・チャージを使用する。(3)雑魚が多かったり、3×3マスの範囲に敵味方が密集しているならフレイムズ・オヴ・ピュアリティを使うことも考える……のようになります。

アーデント

 アーデントも前衛型の指揮役ですが、盾を持てないためルーンプリーストに比べるとやや打たれ弱くなっています。間合いの長いハルバードを持っているので、基本的には味方前衛の背後から攻撃を行ない、状況に応じて前に出るようにするのがよいでしょう。
 パワー・ポイントの使い方については、最もハデな効果を持つデモラライジング・ストライクの“増幅2”をメインに考えましょう。ただし、パーティに指揮役が1人しかいないならエナジャイジング・ストライクの[回復]効果のためにパワー・ポイントを取っておくことも考えるべきですし、高低差のある地形など強制移動が有効な環境ではアンナーヴィング・シャヴを優先すべきです。
 アーデントは戦闘の開始時になるべく多くの味方に隣接しているようにし、戦闘中もなるべくパーティの中心に位置するよう心がけましょう。そうすれば“気迫の心衣”の利益を多くの味方に与えることができますし、乱戦になってからでは使いにくいボディ・アジャストメントを1ラウンド目に使える可能性も高くなります。
 アーデントの1ラウンド目の動き方は、(1)一番先に倒すべき敵から2マス以内に移動できる、移動してデモラライジング・ストライクで防御値を下げ、続く味方がとどめを刺せる確率を上げる。この時複数の敵に隣接できるなら、“増幅2”で使用すること。(2)それができない場合はアンナーヴィング・シャヴで敵を移動させ、PC側に有利なように前線を構築する……のようになります。いずれの場合も、移動の前または後にボディ・アジャストメントを使っておきましょう。

サイオン

 サイオンは雑魚を一掃するための遠隔範囲攻撃と、強制移動や移動阻害を初めとした妨害手段を持つ制御役であり、ウィザードと同じく基本的に後方からの攻撃に徹していれば良いクラスなので、動かし方に困ることはあまりないと思われます。
 パワー・ポイントの使い方については、複数の敵を伏せ状態にする“増幅2”のフォース・ハンマーと、やっかいな敵後衛を味方の前まで引きずってこれる“増幅2”のキネティック・トロールが強いので、基本的にこの2つに使うべきでしょう。パワー・ポイントが残っているとクリティカル時のダメージが増えるからといって、出し惜しみしてはいけません。
 フリー・アクションで使えるフォースフル・プッシュは、使い方しだいで強烈な効果を発揮します。突撃してきた敵が突撃の移動を終えた瞬間に1マス移動させれば、その突撃の攻撃を空振りさせることができますし、移動中の味方が機会攻撃を誘発しそうになった時に使うこともできますし、自分または味方のターンに使って敵を範囲攻撃の効果範囲に動かすこともできるでしょう。
 サイオンの1ラウンド目の動き方は、(1)真っ先に倒すべき敵が、味方が近づきにくい場所にいるなら、それを“増幅2”のキネティック・トロールで引き寄せる。(2)特に優先すべき敵がいないなら、なるべく多くの敵に“増幅2”のフォース・ハンマーでダメージを与え、かつ伏せ状態にする……のようになります。いずれの場合も、すべての敵が視界に入るように移動し、すべての敵に対してモンスター知識判定を行なってから戦術を考えるようにしましょう。

シーカー

 シーカーは遠隔武器を使う制御役ですが、範囲攻撃が少ない一方で、1体の敵に大きなダメージを与えるパワーが多く、遠隔撃破役に近いクラスになっています。ただし、エンケイジング・スピリッツやハンターズ・インスティンクトのように射程の短いパワーもあるため、敵から距離を置きすぎてはいけません。高い〈知覚〉を生かすためにも、敵全員に視線が通るくらいには前に出るようにしましょう。
 遭遇毎攻撃パワーのフリッカリング・アローは戦闘開始直後に敵側の前線の中心になりそうな敵(兵士役や暴れ役)に使い、なるべく多くの敵の攻撃ロールにペナルティを与えましょう。もう一方の遭遇毎攻撃パワーであるエスケーピング・ショットは敵に隣接された状況から逃げるために使えるので、乱戦になりそうな時は残しておいたほうが安心です。イネヴァタブル・ショットは初めて攻撃がミスした時にすかさず使いましょう。この攻撃の起点はトリガーとなった攻撃の目標がいたマスなので、シーカーから見えない敵や効果線の通っていない敵も攻撃できることは覚えておきましょう。
 シーカーは攻撃する敵を自由に選べる可能性が高いため、常にどの敵が最もダメージを受けているかを把握し、できるかぎり速く敵の数を減らすように心がけるべきです。どの敵にもたいしてダメージが入っていない状況では、デュエリスツ・ロングボウの攻撃がヒットした敵は遠隔攻撃と遠隔範囲攻撃に−2ペナルティを被るため、敵の後衛を狙うがもよいでしょう。機動力に優れたモンクと協力すれば、打たれ弱い砲撃役の敵などは1、2ラウンドで無力化できるはずです。