卓上戦諸録(D16)

D16の卓上ゲーム記録

Expanded Psionics Handbook雑感#1

 Expanded Psionics Handbookが届いてたので先先週辺りから目を通しています。
 あちこちでも既存のキャンペーンに導入するか否かってことが考えられているみたいです。引用はソス教さんのところ。

Expanded Psionics Handbookが出版され、メンバー内でも賛否両論あるものの、めでたく(?)ウチでも導入と相成ったわけだがそれに至った経緯をほざいてみたいと思う。もしかしたら導入を検討中の人がいるかもしれないしね。世間はどうだか知らないが、ソス教的には今まで頑なにPsionicを拒絶してきたのは1、超能力というのがまず受け付けない。というかソス教のファンタジー観に合わない。2、1からルールを憶えるのがやだ。面倒。3、なんだかわからんが(ルール読んでいないので当然)凶悪ルールが多い。4、(3版以降の)FRにPsi使いがいない。というような4点が主な理由。

 D16がなるほどと思ったのは、1と3の理由です。特に3あたりは2版からプレイされてる環境ではそういう第一印象が当然なのかもと思いました。
 D16はサイオニック自体、まともに触れたのは3版からで過去の悪名などはあくまで2版後期のサプリをざっと読んだ感触しかありません。
 当時AD&Dの内容をクラシックD&Dに持ち込むという視点でそうしたルールブックを読んでいた身からするとサイオニックと言うものはナンダカヨクワカラナイものであり、Dark Sunをプレイしないのなら必要ないっかなー。といったところでした。眼を引いたのはポイント制であるところくらい。

 で、3版になってはじめてサイオニックを「実用前提」で読み始めました。そのときの印象は「案外いいかも」でした。以下理由列挙。

別の不思議技術体系として“立っている”
秘術(Arcane)、信仰(Divine)に比する魔術体系(魔術Magicではないので以下不思議体系とでも)として、差別化がはっきりなされていたことです。最大級の柔軟性、不確実性(1d20で難易度決定ってなんだよ3.5では直ったけど)、6つの能力値に対応した分野(これも直っちゃったけど)など。
ビジュアル的にカッコイイ
頭悪そうな意見ですが。Psycho Metabolismがらみってめっちゃカッコイイじゃないですか。幻獣少年キマイラですよ。眼が光ったり、むーんむーんとか音するし。
導入にあまり困難がなさそう
以下引用した死せる詩人さんの書かれていることがそのままです。つまり、PCたちやキャンペーン世界自体にとって稀で、対応が困難なシステムではなく、既存のシステムで対応できるなら、それほどややこしいことにはならんのではないかってことです。(フレーバー的に未知の不思議体系ってのはありだと思います。それでも、専用のスペルとかが必要になっちゃうとややこしいかなと)

    で3Eでも確かにPsionicは強力なんですが、その強さなんてのはオフィシャルルールの範囲内で容易に制御できるものでしかない、という結論を得ました。要するに『Psionics are different』のVariant Ruleを採用するか否か、でしか無いんじゃないでしょうか。あれ採用してしまえば、PsionicはArcaneでもDivineでもないSpellでしかありませんからね。

Psionicで表現したいものがある
 これはちょっと順序が逆かもしれないんで以下に詳述……。

 超伝奇小説などで武術、武道、あるいは戦闘技術体系の延長として描かれる超常能力と言うものがあります。あー、まともな方だと二階堂平法(心の一方)とか、合気の遠当てとか。これがイッちゃったほうだと、男塾の面々が習得している技になりまさぁな。無明察相翫*1とか、纏ガイ針点*2とか……いかん、どちらも三面拳、しかも月光の技だ。

 とにかく、連中の技というか不思議体系ってのは間違ってもArcaneでもDivineでもなくってじゃあ高度な技術かと聞けば微妙なライン。単純に技能だけでアレを再現することもD&Dなら可能ですが(いや、ホント)そのためにはEpicレベル*3の内容が必要になってそれもどうよって気がします。そこに、Psionicを導入するとかなりうまく再現できます。
 これで、「この月光、生来目が見えん!!*4」とか、
 「ハハハ、これこそファラオ・スフィンクス秘承技アマルナの黄昏」「むぅ、あれは晏逅寺軟體拳!!」「知っているのか雷電*5!?」のやり取りが可能になるわけで。

 D16として特に重要なのは最初と最後です。戦士が特殊技術を使って戦うっていうのはもしかしたら日本のフィクションの中にしかないのかもしれませんね。けど、そうしたケレンを再現できそうなところに魅力を感じました。
 さらに最後の、「Psionicで表現したいものがある」はその延長上に「忍法・忍術」をD&Dで再現するってのもあります。というか、アメリカのフィクションに伝えられた忍術ってえらく偏っていて、「子連れ狼」に出てきた黒鍬組とか柳生一族は再現できても「伊賀の影丸」や「カムイ外伝」は再現しにくいとおもうんですが。(この項続くかも)

*1:無明察相翫

無明察相翫…中国拳法 その三千年の歴史において最大の秘技として知られているその特色は現代でいう行動心理学のケッペルの法則を応用し 相手の動きを完全に予想することにあるケッペルの法則とは 人間がある一定条件下で心理的圧迫状態に陥った時 年齢・性別・知力・体力・性格にかかわらず全て同様の行動パターンをとることをいうこれは人間以外の動物にも当てはまり 一例をあげれば箱の中につくった迷路にネズミを放しある刺激を与えると 全てのネズミは同じ順路を通り逃げ回る現代最高峰の心理学理論を応用した拳法がすでに存在していたとは驚嘆のほかはない民明書房刊『中国拳法−その科学性』より

*2:纏ガイ針点

纏がい針点…その語源は動いている針と針の先端同士を合わせることにあり 人間のもつ動体視力と精神力を極限にまで鍛え高めた時初めてできる見切り技地上10mの高さから下面中央に鉄針のついた岩を落とし 口にくわえた鉄針で受け止めるのがその練習法である最初は5kgの岩から始め 徐々に重さを増やしていきこれを会得したというには300kgの岩を受け止めることが出来ねばならない民明書房刊『中国拳法修行大鑑』より

*3:ちなみに、Epicレベルだと技能判定に成功すれば水の上を歩けたり、フォースフィールドをすり抜けたりできます。ええ、非魔法的手段というか単なる技術で

*4:擬似視覚・Blind Sight持ちだったんですね

*5:雷電がかなり高いバードレベルを持っているってのは日本のD&D3版ゲーマの共通認識だと思うがどうか