呪術と占星の戦国史ISBN:4106005328
読了。
書き手は戦国時代の研究者。当時の記録中に縁起を担ぐような行動、占いの結果によって大事な戦局を判断していたことが頻繁にあったのを知り、合理的であるべき戦場でなんでこんなことをしていたのかを調べてみたと言うスタンス。
タイトルから予想されるほど呪術的な要素に関しての解説はなし。
それよりも、さまざまな事例において「〜これこれのことを行った」「〜によりこれこれの判断を行なった」というのを上げている。
戦国武将が陣に神仏の加護を求めて陣仏やお守りをもっていったこと。
占いにより戦の日取りを決めたこと。
軍配者が敵と自分の「気」を読み取って進言していた事。
戦場のタブー
祟りへの対処
築城のときの呪術的気の使い方
などについて、史書を引いて事例を示している。
惜しむらくは書き手本人は呪術的な知識に乏しく、
「かくのごとく行なっている、これはなになにを期待して行なったのではないか」といった感じに、実際に行なわれた呪術の解題にまで至っていない。また、軍配者が読んだという「気」に関しても、漠然とした説明にしかなっていない。
そのあたり読み手がある程度わかっていないとつまらないかもしれない。
しかし、大風呂敷を広げたりせずに記録から事例を探してくれているのは頼りになる。