カンフー・ハッスル
馬鹿な人間ほど楽しめる。ある意味、すごく「ゴジラ FINAL WARS」と似たスタンスな気がする。話の脈絡や整合性でなく「カッコイー!」感覚や無邪気な憧れを、とりあえず受け入れられる順番でシーンをつないだという点で。
とにかく、個々のシーンやキャラクターを面白がることができるなら行き届いたシーンの連続。
わくわくする様な猥雑さの豚小屋砦、実は達人だった近所のおっちゃんが出てくるシーンの痛快さ。
いや、ホントにそれだけなんじゃなかろうか。
そういや、相変わらずの香港映画でしか見られないようなトホホなギャグシーンも健在。「少林サッカー」や「食神」のときには資金がないせいか、それとも大陸のギャグセンスは違うのかとおもったのだけど、どうもあのトホホなギャグは大マジらしい。あんなところに力入れなくたってよかんべやとか思うんだが、もうこんなものだと思って楽しむのがよさそうだ。
しかし、人に勧められるかといったらちとためらう。
いっそ友情を試すつもりで勧めてみるのかもしれない。まぁ、親族には勧めない。
あと、チャウ・シンチーの映画では前半のダメ人間がストーリー的な死、再生を経て半ば超然とした達人になるというパターンが多いように思われる。
『食神』もそうだったし、たしか『武状元蘇乞兒(チャウ・シンチーのキング・オブ・カンフー)』もそんな話だった。
チャウ・シンチーにとって思い入れのあるパターンなのかもしれない。それにしてもこの人はクズ人間を本当に楽しそうに演じるなぁ。