卓上戦諸録(D16)

D16の卓上ゲーム記録

Nacky7さんへの返事

 2/9のコメント欄id:Nacky7さんから質問をいただく。一寸長くなるかもと思ったので別エントリにして返事をすることに。

nacky7 『おじゃまします。D16さんの言う、“シナリオ”と“アドべンチャー”の区別をはじめて知りました。どこかに二つを定義した記事があるのでしょうか? よろしければ教えてください。』

D16 『こちらこそ、直接は初めまして。いつもサイト拝見させていただいております>nacky7さま。▼この区別がD&D関連の記事(製品内、もしくはDragon誌)などで明示されてはいないと思います。ただし、原文のDMGではscenarioという言葉は(冒険の舞台、要素としては)使われていないようです。AD&Dの1stのころではいわゆるシナリオを普通にscenarioと呼び習わしているのもあるようです。▼正直、意識的に使い分けているという確証はないのですが、3版においてはいわゆるシナリオに相当する語としてAdventureが用いられているのは事実です。そこに意図があるのかはまだ不勉強で見つけていません。』

nacky7 『ありがとうございます。で、すみません、D16さんが述べておられるのは、『DMによる物語の誘導は意図されていない』ものがアドベンチャーで、そうでないもの(DMによって物語の誘導が意図的におこなわれる。つまり、局面あるいは全体においてプレイヤーの意思の決定(+ダイスなどのランダム要素の結果)にかかわらずGMの意図した方向へ結果(=物語)が導かれる)が“シナリオ”ということで、理解してよろしいでしょうか?』

 最初にお断りしておくと、ここでアドヴェンチャーとシナリオといって話題にしているのはあくまで、D16が暫定的に語を作って話しているものなので、現在のD&Dにおけるシナリオ(Adventure)が必ずアドヴェンチャーであるとは断言できないと言うことです。
 その上で、アドヴェンチャーに関してはnacky7さんの理解はD16の意図したものです。
 一方、シナリオに関してはnacky7さんの理解はD16が意図したものよりちょっと強い限定になってしまっているようです。
 “つまり、局面あるいは全体においてプレイヤーの意思の決定(+ダイスなどのランダム要素の結果)にかかわらずGMの意図した方向へ結果(=物語)が導かれる。”
 このままですと、いわゆる「吟遊詩人マスタリング」を導くように聞こえます。
 自分が“アドヴェンチャー”と対比している“シナリオ”は決して、恣意的なGMの判断で物語を進めていくための材料からなるものではないと思います。
 アドヴェンチャーの要素は、PCが飛び込む「冒険の場」の説明、解説からなると考えます。つまり、それは自然環境のデータであり、遭遇するモンスター、NPCのデータと基本的な行動指針などです。具体的にはダンジョンの地図にエンカウンターが割り振られたごく基本的なD&Dのモジュールなどを考えていただければよいと思います。
 一方。シナリオの要素はPCが巻き込まれる、または飛び込んでいく「事件」の説明、解説と考えます。これの具体例としては「クトゥルフの呼び声」の幾つかのシナリオが適当ではないでしょうか。PCは基本的に「場所」で「何か、誰か」に遭遇するのではなく、「場所、何か、アクション」が一体となった「事件」に遭遇します。確かにこの「事件」は、GMにより恣意的に起こされ、かつ与えられる情報なども恣意的に与えられるものではありますが(そしてその点においてアドベンチャーとは異なりますが)、プレイヤーの意志の決定によって状況を動かすことができるので、nacky7さんが挙げた理解よりも柔軟性の高いものだと考えます。
 んー、ちょっとまとまりがないですがとりあえずこのあたりまで。