ボブ・リー・スワガー
親父の本棚からパクって断続的に読んできたスティーヴン・ハンター。メインの主人公、ベトナム戦争で1大隊を相手に戦ってしまった凄腕狙撃兵、ボブ・リー・スワガーを主人公に、銃とバイオレンスとアメリカの家族像、南部の男のメンタリティを描いた一連の作品……。
むー、こんな風に書くとえらく嘘くせぇナ。
- 作者: スティーヴンハンター,Stephen Hunter,佐藤和彦
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スタンダードにまずこの話が一番まとまりが良かった気がする。スケールと爽快さそしてなんといっても登場する人物たちが皆陰影濃く、一癖も二癖もあって、そしてとっつきにくい。あと、男の子にとっては文中の銃の描写、狙撃のノウハウだけでご飯三杯いける。
- 作者: スティーヴンハンター,Stephen Hunter,公手成幸
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冒頭が衝撃的。けれど、それ以上にボブの人生を決定付けたベトナム戦争のシーンが圧巻。正直、ベトナム戦争中の活躍シーンだけで小説一本いけるのに、それすら本筋の伏線なのだ。極大射程もそうだけど、作者はスピーディなアクションの背後に綿密に“隠された真実”を描いており、実のところアクションのクライマックスはプロットのクライマックスへの前奏曲になっている。くるりと綺麗に明かされる事実がすとんと胸に落ちる。
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その父アール・リー・スワガーのやはりバイオレンス。これ読むまでボブの顔は頭の中でクリント・イーストウッドだったのだけど、父親が出てきたらこっちがクリントだね。
えーとこの話、じつは凄く雰囲気が似た話が日本である。
ワイルド7そっくりなんだ。
都市圏から離れたところにある、悪の権力者とその王国。ヒーローが受ける拷問、そして不屈の男の脱出。そして、苛烈なる復讐行。腕利きの剣呑な仲間たち。カッコイイ連中がヒデェことをこれでもかとやってのける、行間から血と硝煙と砂埃とそしてウィスキィがにおってきそうな話。
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順番的には多分、今から読もうという、
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の方を先に読んどくべきだッたんだろうなぁ。
アールの死に関わる事件からボブが過去の真相を暴いてゆく話。
作者の書く悪党がふてぶてしくて、クレバーで、絶対関わりたくないけれど新聞で読んだらファンになっちゃいそうだ。チンピラの見苦しさというか薄汚さも凄いけどね。
いずれの作品も、緻密かつダイナミックな冒険小説でありながら、緻密なプロットがぐいぐいと物語を引っ張ってゆく。よき男たちは弱みを知りながらも挫けぬ真のタフガイで、誇り高い。
この物語、いずれも誇り高い者が最後まで立っていられる物語といえる。
そして、親から子へ受け継がれる“誇り”。戦士としての“誇り”を持つ者たちの物語でもある。
ダーティホワイトボーイズを読んでどうなるかが楽しみ。