卓上戦諸録(D16)

D16の卓上ゲーム記録

King of the Trollhaunt Warrensのレビュー

 既にご存じの方も多いでしょうが、D&D4版では冒険者のレベル帯を三つに分けています。1~10の英雄級、11~21の伝説級、21〜30の神話級ですね。感覚としては、冒険者として一地方に名を馳せるのが英雄級、国家規模の冒険や争いに関わるのが伝説級、そして異次元の神や天使と事を構えるのが神話級です。
 とはいえ、英雄級までは何とか想像がつくものの、国家規模の冒険とか異次元とか言われてもピンとは来ません。やっぱり冒険の実例を見せてもらわないと。
 幸い、3版の時と同じように4版でも1〜30レベルまでの連作シナリオがアナウンスされており、海外では神話級冒険の1作目、Death's Reachが出ています。

Death's Reach: Adventure E1 for 4th Edition D&D (D&D Adventure)

Death's Reach: Adventure E1 for 4th Edition D&D (D&D Adventure)

 日本でもついこの間、英雄級2作目、雷鳴山の迷宮が発売されました。

雷鳴山の迷宮 (ダンジョンズ&ドラゴンズ H2 英雄級アドべンチャー・シナリオ2)

雷鳴山の迷宮 (ダンジョンズ&ドラゴンズ H2 英雄級アドべンチャー・シナリオ2)

 この連作シリーズ、それぞれスタンドアロンで遊べるのはもちろんの事、全部通して一連の物語となっており、最終的にはMMの表紙を飾るあの方、オルクス御大と殴り合うと言うことがアナウンスされています。実際、Death's Reachではまさしく神話級でして……。詳しいことはいずれ後にお話ししますが、D&Dサガにおけるオルクス転変の歴史がまた1頁が描かれる、目の離せない内容になっております。
 
 で、伝説級冒険の第一作、King of the Trollhaunt Warrensなんですが……。
 まず、これは11レベルから対象のまさしく真ん中あたりの冒険を扱います。これが、読んでみたらえらくおもしろかったので紹介しようと(前置き長いねどーも)。

King of the Trollhaunt Warrens: Adventure P1 (D&D Adventure)

King of the Trollhaunt Warrens: Adventure P1 (D&D Adventure)

 古代フォモール族の魔法を身につけたトロルの方が辺境都市、Moonstairを狙う。
 Trollhauntの沼地のどこか、ヤツは戦いに備えている。数世紀にわたる沈黙を破り英知を身につけたトロルの王が、古きトロル王国Valderを蘇らせた!
 Trollhaunt Warrenの王に立ち向かう。PC達のほか、いったい誰がその任を果たせるというのか!

 こんな感じで始まるこの冒険、居留地を守るためにトロル王が率いる人型生物やモンスターに立ち向かうという物ですが、何というか青箱の中間、まさにネームレベルのPC達が立ち向かう冒険と言う感じがして懐かしい! 何となく赤い手は滅びの印を思わせますが、アレよりも敵は個体が強力で凶暴。もともと知性がお粗末な連中だから何とかなっていたのが、優秀な智慧を身につけ聯合してくるのだから始末に悪い。
 ベースタウンかつ戦場となるMoonstairの描写も十分で、かつ、この話ではその側に広がるTrollhaunt Warrensという湿地の遭遇も“これが4thの野外遭遇か!“と思わせる内容となっています。
 このシリーズおなじみのポスターマップに、冒険の要所要所でPCに見せる綺麗なハンドアウト(描かれている物は必ずしも綺麗なものばかりじゃありませんが)、追加のモンスターもおもしろい。
 けれど、僕の目を引いたのは久しぶりに見た大ダンジョン。
 いや、規模で言えばもっと大きいダンジョンはありますよ!? でも、一つの巣穴としてこれだけ大きな洞窟網は久しぶりで、このあたりも何となく青箱冒険を思わせます。
 中身は、屋外在り、ダンジョン在り、防衛戦在りとやはり盛りだくさん(ポスターマップの一つは市街戦用!)。また、4thで登場したフェイワイルドの畸形巨人、フォモール族が絡んできているのも“らしい”ところ。
 4thのレベル帯感覚なんですが、3.5でおもしろかった5〜15レベルをより長く遊べるように調整した感じがあります。その伝で行ってもこの冒険はPCたちに脂ののってきた伝説級冒険の始まり。
 ぜひ日本語で遊べるようにしたいですねえ。