卓上戦諸録(D16)

D16の卓上ゲーム記録

シノビガミ!

 おお、久しぶりにD&D以外のタグだ。
 この日記を訪れる方はD&D周りの方が多いとは思いますが、サイコロ・フィクション・シリーズというゲームをご存じでしょうか?
 新紀元社から新書スタイルで出ておりまして、冒険企画局の河嶋陶一郎先生(先生のブログ:ひげとぼいん)がデザイン、ライティングしているシリーズです。
 リプレイとルールがついたかたちで、ピリッとコンセプトのはっきり尖ったシステムを世に送り出してまして、第1作がオバケと小学生とでコンビを組んで不思議な事件に立ち向かう「ご近所メルヒェンRPGピーカーブー!」

ご近所メルヒェンRPG ピーカーブー (Role&Roll Books)

ご近所メルヒェンRPG ピーカーブー (Role&Roll Books)


 この本では小学生を招いてのセッションをリプレイにすると言う、偉業を河嶋先生は成し遂げてまして(ちなみに、すっごくおもしろいセッションでした)。

 で、先日このサイコロ・フィクションの新作「シノビガミ」が刊行されました。なんと今回は正当な現代忍者アクションRPG

 で、好意と機会とに恵まれまして河嶋先生にマスターをして頂き、このゲームを遊ばせてもらったのです。
 自キャラは、葬渓(はふり・けい)。現代伝奇的な名前でしょ?
 流派はスパイ養成機関、私立御斎学園(しりつおとぎがくえん)。ここに所属する忍者で、現在は高校生。訓練を受けて実力は持ちつつも、他の流派の忍者との行動はこれが初めてという感じで遊ばせていただきました。
 シナリオの内容はもしかしたら、まとまるかもとのことで詳細はひみつ。
 このゲーム、基本的にPCは各流派の忍者となって、ゲーム開始時に与えられた使命を果たすために行動します。で、この使命は時にPC同士が相争うものになってたり。
 これ、すごく忍者モノ(いや、忍法帖モノ)の枠組みを再現しているんですよね。そう、この「シノビガミ」って「忍者がいるRPG」ではなく「忍者をプレイするRPG」なのです。他のクラスや状況とすりあわせると忍者って特殊すぎてしまうところがあるんですが、このゲームには忍者しかいないので、その水準でゲーム作れるんですね。かなり調子に乗って行動を演出できます。この辺、リプレイが良い参考になります。
 で、忍法帖を再現する最大のギミックは使命と同時に各自に与えられる「秘密」。
 各キャラクターが持っている秘密で、各回のシナリオに関わる内容が記されているのですが、これが忍者的には超重要。各自がそれぞれの思惑により行動し、相手を出し抜こうとしている中で、自分の行動の基幹(であることもある)の秘密、誰かとの関係、因縁を知るのと知らないのでは動き方が変わってくる。そしてこれがまた、風太郎的に忍法帖らしい!

 いや、忍法とか奥義のルールもおもしろくて紹介すべきという気はするのだけど、それはたぶん他の誰かが話してると思うので、僕はやはり忍法帖な枠組みを作るこのシステムの話をしたいです。

 まず、PCは与えられた使命と秘密と他のPCの秘密とを総合して物語の全体像を知ろうと動くことになります。いや、使命だけ遂行するというのもアリですが、早晩他の人について行けなくなる、あるいはカモにされるんじゃないでしょうか。
 あ、このゲーム、使命を果たすことで功績点を得られますが、それとは別に各流派の敵(往々にして他のPC)に勝利したり、各流派の流儀を満たしたりといった個人的な目的を果たすことでも功績点は得られます。ので、功績点を高くするために立ち回るのに、話の全容を知っておくことはやはり重要になります。
 これらの情報は個人単位で得られるわけで、結果として「ふむ、なるほど」、「そういうことか」、「やはりな」といった、「良いからお前ちゃんと主語動詞つけてしゃべれ」とキレたくなるようなフレーズが乱舞します。これもまた忍法帖らしい。一度やってみたいのは「ま、まさかこんな事とはっ!」と言った後で脱落するってヤツなんですが、これもまた可能(笑)
 いや、忍者を再現するなら確かにD&Dのパワーに忍法パワーリストを作れば良いんですけど、そうやってドラゴン相手に微塵隠れ……さすがにマイナーなので、変異抜刀霞斬りにしよう、したってよい訳ですが、(重ねて言いますが)それは必ずしも忍者モノにはならない。
 使命が下されて、互いに秘密を抱えた忍びたちが、丁々発止とやりあう。
 これが、すごく忍者らしい。

 あー、中の現代忍者モノするための設定とかすげえ軽快かつ「忍者が戦ってる」間満載なシステムとか、いろいろあるんですが、良いから買って読んで!