卓上戦諸録(D16)

D16の卓上ゲーム記録

第五回:『武勇の書』解説・後編

9/3時点でのD&Dの話題……Skill PowerとDragon Annual2009

D16:ではまず、最近の製品やWoCのサイトの話題でも。打ち合わせのメールではDragon Annual2009とか話したけど、先ほど発表されたSkill Powerが気になってます。
 からくりさんが相変わらず早いチェックをしてくれていますが、確かにPHB3でおもしろい要素になりそう。
pps:いいかげん基本クラスの数が増えてきたので、技能以外に何の前提も無い、すべてのクラスが修得できる追加パワーを出してきたのでしょうね
D16:汎用パワーとして、特定技能の高度な使い方を可能にするっていう内容。3.5版の『無頼大全』の技能の離れ業を思い出すね
pps:技能判定に直接関係のない戦闘向きのパワーも多いですけどねー。この調子だと、PHB3では新規のパワー源はPsionicだけなのかな。他はハイブリッドPCとかの汎用記事でページが埋まりそう
D16:あ、そっか。Skill Powerはパワー源なしだね。現状、PHB3くらいまででいったん種族やクラスを追加する流れは終わって、種族の掘り下げとかは予告されてる32ページの種族本とかになるのかな
pps:伝説級・神話級を重視したPHB4が出る可能性はけっこう高いんじゃないかと思ってます
D16:あ、なるほど>伝説級・神話級。さてでは予定に戻ってDragon Annualの話をちょいとすべえ。

Dragon Magazine Annual, Volume 1: A 4th Edition D&D Compilation

Dragon Magazine Annual, Volume 1: A 4th Edition D&D Compilation


D16:この製品は現在WoCのサイトで公開されているDragon誌の記事を抜粋して一冊にまとめたものです>Annual
pps:Web公開といっても有料記事ですので、初めて見る人も多いはず
D16:そそそ、そこが大きい>有料記事。
pps:最初の記事がDemonomicon(デーモンの紹介記事)というのはいかがなものかと(笑)
 いや! おれはイーノグフ*1がこのまま製品に載らなかったらどうしようかと思ってたから、かなりほっとしたぞ! MM系統の表紙飾れるほどメジャーじゃなさそうなんだもん>イーノグフ
pps:…それは確かに。ラスボスになれるほどの大物じゃないですしね
D16:その分、冒険に出しやすいとおもうんだ>イーノグフ。バフォメット*2と同じくらいにデーモンとしてわかりやすいし。
pps:バフォメットと違うのは、リアルの神話という厚みに欠けるところかなあ。イーノグフの手下としてノールとデーモン以外を出しにくいんですよね。バフォメットの配下なら人間がいても何の不思議もないんだけど。
D16:前はグールも出せたんだけどな。いまドレサイン*3はオルクスの所行っちゃってるし。確かにイーノグフは冒険生活に於いて、中間で出会うのにちょうど良い手下がいない感じはするね。
 で、先ほど述べたように有料記事の再録商品と言うことで新しい内容はあまりない。けど、D&D Insiderの記事を日本語訳して公開するのは現状無理なので、こうして製品になってくれないと日本語ユーザとしては日本語で読める可能性すら諦めなければならないのです>Dragonの記事。
 そしてD&Dと言うゲームに於いてはやはりDragonとDungeonという雑誌サポートはゲーム本体と両輪をなすものなんですよ。
 たとえば世界を深める読み物的な記事とかね。
pps:DM向けのぶっちゃけたアドバイスとか、デザイナー陣の裏話とかもですね。
D16:そそそ>ぶっちゃけ。幾つかのコラムは記名でぶっちゃけているのでデザイナの傾向も感じられるね。
 で、今回のDragon AnnualはDM向けとPL向け、両方にとって魅力的な記事が満載だ。DM向けにはデーモンロード、イーノグフの詳細。オルクスのカルトの説明と構成員のデータ。
pps:コボルドの追加データ、インテリジェント・アイテムのルール。フェイワイルドの都市ミスレンダインを詳しく紹介する記事も。
D16:バグベアによる犯罪組織の設定とかはシティアドベンチャーの良いネタになるね。で、PL向けにはWish Upon A Star。星ウォーロックの追加記事だ。
pps:「星に願いを」かよ!
D16:星の契約用のパワーが1〜29レベルまで各レベル分追加だ!
pps:2つの契約を持てる特技とか、どう考えても「秘術の書」にいれるべきだろ……。ウォーロックの作り方ががらりと変わりますね
D16:コーデル先生の自キャラが星ウォーロックだったらしいからな。んでもって、お好みのちょっとしたコズミックホラー・テイストを増量した感じだ。
pps:好きな人にはいいんだろうけど、星ウォーロックがみんなSAN値0みたいに言われるのはちょっとなあ。星ウォーロックはどうもイメージばかり先行してしまっている気が
D16:やっぱり誰かコーデル先生の頭抑えるべきとは思う。4thの新しい特徴だから、まだ固まらず好き勝手やられちゃうんかねえ>星ウォーロック
 一日毎呪文に、【耐久力】ベースと【知力】ベースのが追加されてるので、星ウォーロックの能力値配分のつらさが少し軽減されるのかな
pps:知力? 魅力じゃなくて?
D16:うん、5レベルに【知力】ベース、あと25にも
pps:ほんとだ・・・攻撃に使う能力値が3種類もあるとか、何を考えてるんだ
D16:あとは、グラディエイターと暗殺者
pps:暗殺者は毒使い、ギャロット使い、吹き矢使いといった怪しい選択肢がいっぱい
D16:必殺仕事人ができるよ! いやマジで、各クラス揃えた上で、一人が一つずつ毒使いとか吹き矢使いをやれば仕事人パーティが。あとはまぁ、忍者っぽいことも可能、かな
pps:ニンジャじゃなくて忍者、これ重要
D16:そそそ。ほかには闇の住人シャダーカイをPLとして遊ぶ用の記事でスパイクトチェインを使いやすくする特技が増えたりとか。DMにもPLにもおもしろい内容が山になってましたね。
pps:ダンピールも載ってましたが、アメリカ人もああいうの好きなのかなあ。イラストを見る限り、耽美とはかけ離れてますが
D16:大丈夫、テクスチャ張り替えちゃえ

『武勇の書』を語ってみる、遂にレンジャー

武勇の書 (ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版 サプリメント)

武勇の書 (ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版 サプリメント)

  • 作者: ロブハインソー,ロバート・J.シュワルブ,クリスシムス,デヴィッドヌーナン,Rob Heinsoo,Chris Sims,Robert J. Schwalb,David Noonan,日本語版翻訳チーム
  • 出版社/メーカー: ホビージャパン
  • 発売日: 2009/07/31
  • メディア: 大型本
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D16:では武術の書の続きに行きましょう。まずは、レンジャーから。今回の追加クラス特徴は野獣使い
pps:弓術と二刀流につぐ3番目の選択肢ですね
D16:動物の相棒はMMデータからではなく、幾つか分類されているタイプから選択するものになりました。ウルフ、キャット、サーペント、スパイダー、ベア、ボア、ラプター、リザードとあるので、だいたい代替はカバーできそうですね。
pps:これはあくまでもおおまかな分類なので、似たような動物なら何を選んでもOK。ベアのデータでパンダとか
D16:いやそれはたしかにそうだけどぱんだつれてどうするつもりだ
pps:うまくいけば〈交渉〉にボーナスがもらえるかも(笑)
D16:それぞれの動物によって戦い方が変わってくるね。で、相棒の能力(防御値、ヒット・ポイント、攻撃ボーナス)はレベルと共に上昇する。
pps:何を選ぼうと、レベルに見合ったそれなりの強さは保障されているわけですね
D16:ダメージはだいたい1d8がベース、ベアが1d12、ラプター(猛禽類)が1d6。で、[野獣]パワーでこれらの攻撃能力が上がると。野獣の攻撃については、これ、野獣と使用者でアクションを分け合うかたちになるので、攻撃回数が2倍になるってわけじゃない。つまり、使用者が標準アクションを費やして野獣に攻撃させたり、移動アクション費やして移動させたりするわけ。
pps:移動アクションの場合は使用者と野獣の両方が移動できます
D16:野獣が機会攻撃できるとき、機会攻撃をさせるには使用者が即応・割込で指示を出す必要がある。だから、機会攻撃の回数も2倍とは行かないね。
pps:野獣のhpは同レベルのモンスターと同じ決め方なので、レンジャー本人よりも多くなります。ただ、回復力は2回分しかありません。
D16:あと、野獣の命中判定を高くする手段が現在はあまりない?
pps:そうです。野獣の攻撃は武器の習熟ボーナスや強化ボーナスが足せないぶんやや弱め。
D16:冒険者の宝物庫に野獣用のアイテムはあるんだけど、命中は上げられないんだよね。
pps:相棒は挟撃を提供したり敵の移動を阻害するのが仕事かな
D16:なるほど。
pps:まあ、相棒がレンジャー本人より強くなってしまっては本末転倒ですから
D16:さて、もちろんレンジャーの追加フィーチャーは野獣だけではなく、既存の弓術、二刀流やレンジャーとしての多様性を確保するパワーが追加されている。
pps:二刀流系はマイナー・アクションで攻撃できるパワーが増え、とにかく攻撃回数が増やせます
D16:相手に接敵していれば、標準アクションで2回攻撃するパワー、マイナー・アクションで攻撃するパワー×2で、4回斬りかかれるね。アクション・ポイント使えばさらに標準アクションで2回攻撃して6回までいける。是非、指揮役から固定ダメージボーナス乗せるパワー貰ったりして、累積ダメージを稼ぎたい。
 あとはもちろん、攻撃回数が多い分クリティカルを狙うパワー、アイテムと組み合わせてみたい。冒険者の宝物庫にでてくるジャグド・ウェポン(19〜20でクリティカル)とかな
pps:ジャグド・ウェポンは正直微妙かと。ジャグド・ウェポンはクリティカルの時、追加ダメージではなく継続ダメージを与えるので、2回目のクリティカルが無意味になってしまうんです
D16:あ、そっか。継続的ダメージは累積しないか。となるとクリティカルを上げるのは指揮役のパワーとかかな?
pps:そうですね。ウォーロードのサンダー・アーマーとか
D16:ついでに、撃破役としてのレンジャーの特徴をちょっと攫っておかないか? ローグと比べてどう違うか。PHB2でバーバリアンやアベンジャー、ソーサラーも増えるしね。ダメージ量をざっと見たとき、レンジャーはローグやバーバリアン、ソーサラーにちょっと引けを取るように見えないだろうか?
pps:レンジャーの長所は毎ラウンド安定したダメージを与えられることですから、1発のでかさにくらべて目立ちづらいですね。指揮役の援護がうまくいって、ローグやバーバリアンのような一発屋が毎ラウンド攻撃をヒットさせているような状況では、レンジャーは劣って見えるでしょう
D16:そそそ。キャラ構築時だとやっぱりインパクト的に一発の大ダメージに注目してしまうので。
pps:逆に敵の制御役の攻撃でパーティの何人かが無力化され、挟撃も取れないような状況こそレンジャーの活躍の場ですね
D16:それと、レンジャーのいい所は攻撃回数が多いことと対応性の高さだと思うんだ。これは実際にセッションで運用しないとなかなか実感できないんじゃないかな
pps:確かに、戦闘以外の場面で役立つ汎用パワーの多さにかけてはレンジャーの圧勝ですから。技能についても同様。
D16:あとは、遠近両用パワーが多いので、近接しかできないとき、遠隔しかできないときでも対応できるんだよね。二刀流レンジャーでもロングボウは持っておこう。
pps:4版は飛行クリーチャー対策がすごく難しいので、これはとても重要です
D16:下手すると、ウィザードのマジック・ミサイルしかまともな遠隔攻撃手段がないパーティとかができちゃうからな
pps:そのへんはDMも気をつけましょう
D16:別に、PLに無理して合わせろとは言わないが、パーティの得意技をわざわざ封じるような、つまりPLにつきあわわないような遭遇は多用すべきではないね。
 さて、そんなレンジャーの伝説の道。多様な方向性を持つレンジャーだけに、各方面を伸ばす道が用意されてます。
pps:アヴァランチ・ハーラーは投擲武器を使った遠近両用型。投擲武器はロングボウにくらべてダメージが小さいのが欠点でしたが、この道の特徴で投擲武器のダメージ・ダイスが1段階大きくなります
D16:なるほど。『冒険者の宝物庫』にあるトラトナイルってd8武器なんだけど、これがd10に?
pps:そうなりますね
D16:な、なるほど。まぁ、ロングボウは元からd10武器だしな。【筋力】レンジャーが遠隔攻撃が不得手でなくなると言うのが大きいのかな
pps:あと1歩届かないので突撃するしかない、といった状況でツイン・ストライクを選べるのはけっこう意味があると思います。投擲可能な武器といえば斧や槍なので、ドワーフやエラドリンに向いてるのかな。
 次、シャープシューター
D16:イメージ的には狙撃兵だけど、D&Dなので乱戦で連射する感じ?
pps:そうですね、弓で機会攻撃ができるのでなるべく前線に出ないと
D16:遮蔽や視認困難のペナルティを受けなくなれるってのは、4版ではありがたい。あとは、汎用パワーのパーフェクト・エイムがとても“らしい”。マイナー・アクションで狙いをつけることで攻撃とダメージに【判断力】修正が乗せられる。+2〜3は乗せられるかな?
pps:11レベルだから、エルフなら+4いきますね
D16:遭遇毎に1回、これができるのはいいな!
ジャイアント・スレイヤーはこれまたD&Dレンジャーのアーキタイプである対巨人クラス。ファイターもこの道に進める。
pps:特徴の名前とパワーの和名が愉快なことになってます(笑)
D16:指の隙間をすり抜ける(11レベルの特徴)とか、ライド・ザ・ジャイアント・ダウン(巨人を踏みつける)とかな
pps:ライド・ザ・ジャイアント・ダウンは効果が面白いので、文章が長いけどがんばって読んでください
D16:ワンダと巨像ができるパワーです(笑)
シルヴァン・アーチャーは弓兵二つめ。エルフ用なんだね
pps:敵の遠隔攻撃を迎撃するシャフト・スプリッター
D16:なにその超人演出。
pps:ビホルダーの光線も打ち落とせるよ!
D16:遠隔攻撃って書いてあるもんな! 実際には−5ペナなんだけど、これだけペナが乗ればはずれるべ(笑)
pps:目標の名前を知っていると威力が増えるネームド・アローも愉快ですね
D16:いかにもって感じ。しかも意志狙い。
pps:野獣使い系はまとめて行きましょう。パック・ランナーは狼使い
フェラル・スピリットはなんでもOK
ワイルドキャット・ストーカーは大猫使い
D16:それぞれ動物の特徴を思わせる特殊能力や、連携攻撃を獲得する。フェラル・スピリットはアクション・ポイント使用で野獣の相棒の攻撃ロールに+4と言うのがかなり大きい。ワイルドキャット・ストーカーはその名の通り、視認困難を駆使して戦場を引っかき回せる。
pps:ワイルドキャット・ストーカーの20レベルパワーは攻撃の前と後に7マスずつシフトできます。1ラウンドにどんだけ移動してるんだこいつ
D16:何かすげえ無茶なことを聞いた気がする。フレーバーテキストには「飛びかかって]とか書いてあるけど?
pps:「跳ぶ」じゃなくて「飛ぶ」が正しいという例ですね
D16:二刀流レンジャー用の伝説の道は、旋風の如く二刀を振り回すブレード・ダンサー、死を呼ぶエラドリンの絶叫剣士ブレード・バンシー、地獄の炎を刃に宿すヘルボーンシャドウ。いずれも二刀流の攻撃にダメージを追加する特徴やパワーを持っていて、ダメージ量が嬉しくなる。
pps:ブレード・バンシーは刃から発する音で敵を支配状態にするとか、もはやどこが[武勇]やねんて感じです。個人的一押し。
D16:ブレード・バンシーには武侠系のテクスチャがある気もするね。妖刀告死剣とか
pps:ホライズン・ウォーカーは3版と同じくさまざまな次元界に関連した能力が入ります
D16:しれっと、11レベルで暗視を得るのは大きい
pps:4版では暗視も貴重ですからねえ。暗視持ちの種族は今のところドラウだけかな
D16:あと、さりげなくこいつのパワーは[秘術]キーワードついてるのね。いや、だからどうってわけでもないけど
ルースレス・パニッシャーは「追い詰めるレンジャー」。人型生物の獲物に追加効果があるパワーってことは賞金稼ぎとかそんなイメージ?
pps:たぶんそう
D16:いや、汎用パワーのネームド・ドレッドは「自分の名前を名乗ることで敵の攻撃ロールに−2」だ。これはつまり高いところから登場しろってことか!
pps:そうか!
D16:しかも、話すだけならフリー・アクションの世界で名乗り上げるまでマイナー・アクションが必要だ! これはきっと「ひとーつ、人の生き血を啜り……」とやってるに違いない!
てか、これ爆発10で使用者の声が聞こえる人型の敵”すべて”に命中判定ナシで−2だぜ。しかも使用者が〈威圧〉持ってたら、次のターン終了時まで戦術的優位まで得られる。「こ、このようなところに上様がおられるはずはない」という動揺まで再現!
pps:限定は“人型”だけだから、ヴァンパイアなんかのアンデッドにも利きますね
D16:なんか、〆がホントにレンジャーなのかといった感じの伝説の道だったけど(笑) とりあえずレンジャーはこんなところ

『武勇の書』を語ってみる、クラスの〆はローグ

pps:次はローグですね新たなクラス特徴は“無慈悲な乱暴者”。クラブやメイスで急所攻撃ができます
D16:なんか、北斗の拳でモヒカンにしてそうな感じだな
pps:どうみても悪役ですよねー
D16:バグベアとかがモーニング・スターで急所攻撃するための特徴、んなわけないか(笑)
pps:[威嚇]パワー*4で攻撃するとダメージに筋力が乗るので、戦術的優位がなくてもそこそこのダメージが出ます
D16:微妙に腕っ節無頼っぽい
pps:モヒカンのイメージと違って、実はわりとバランス型なんですよね。[威嚇]パワー自体、敵を殺すためではなく自分が生き残るためのものだし、戦術的優位がなくても何とかなるということは、無理をして挟撃を取りにいく必要性が薄れるということでもあります
D16:なるほど
pps:あとはクラブやメイスに属する強い武器があればなあ・・・
D16:強めの殴打武器ってハンマーやフレイルの方が多いからねえ
pps:クラブやメイスは素人向きの打撃武器ですから強化する特技も少ないですし。ではパワーいきますか
D16:うん
pps:遠隔パワーが増えたので、PHBだけではつらかった射撃ローグがやりやすくなりました。レンジャーと同じくマイナー・アクションで攻撃するパワーも入ったので、毎ラウンド確実に急所攻撃ができます
D16:【敏捷力】考えるとローグが遠隔を担当しなきゃ行けないパーティ、多くなりそうだしね。
pps:レンジャーと同じく、ローグも対応力に優れたクラスですからね。技能関連の汎用パワーもいろいろ増えてますし
D16:フォクセス・ギャンビットみたいにマーク外すパワーってのもおもしろいな。マークされて離脱にリスクを負うこと多いし>ローグ
pps:MM2では攻撃が外れてもマークできるファイターみたいな兵士役が増えてるので、マーク外しは重要
 で馬鹿パワー。22LVパワーのシーズ・ザ・モーメントはイニシアチブ判定に+20! もうアホかと
D16:なんだか(笑)
pps:ここまで極端でなくとも、4版ではレベルが上がるにつれてイニシアチブの数値がどんどん増えていきますので。イニシアチブ管理はちょっと注意が必要です
D16:20レベルだったら最低でも+10スタートだしな。10レベル汎用のエクスキューショナーズ・ミーンもおもしろいね、構えでこれを使っている間すべての攻撃に[威嚇]キーワードが乗る。
pps:一日毎パワーだから、無慈悲な乱暴者は1日に1戦闘だけ輝ける瞬間があるわけだ。
D16:そそそ
pps:では伝説の道行きますか
D16:パワーは個々の技の名前にひねりがあるんだけど、やってくときりないしね(笑)
pps:そのへんは実際に読んでみてのお楽しみということで
D16:ローグはこれまたかなり幅広いクラスなんで、伝説の道もいろいろ方向性が豊かだ
pps:ギルドマスター・シーフは指揮役に近い能力が入ります。
D16:アクション・ポイントの融通ができる数少ない伝説の道だね。
pps:一方レイキッシュ・スワッシュバックラーは敵をマークできる
D16:なるほど、撃破役の基本にいろいろほかの役割をちょっと噛ませるわけだ
pps:制御役だけは難しいようで、該当する道は無いかな
D16:そのうち罠使いとか、マキビシ使いとか出るんじゃないかと夢想
pps:そのへんはローグというより錬金術師に近い気がします
D16:クロークト・スナイパーはクロスボウ使い。まさに隠れて狙撃するキャラクター
pps:〈知覚〉の高い敵は多くないので、隠れるのはけっこう簡単
D16:クラス特徴でアクション・ポイントつかって追加行動したとき、急所攻撃をもう一度乗せられるようになるので大ダメージがだせるね
pps:特技にも同じ効果のものがあるので、ただで特技が1つもらえるようなものですね
D16:ストロングアーム・エンフォーサーはこれPC用なのかホントに(笑)これ、イメージとしてはヤクザの用心棒です。11レベルパワー、ペインフル・リマインダー(もう一度痛い目にあいたいのか)
pps:まあ、無慈悲な乱暴者自体がアレですし(笑)
D16:自分たちが翻訳してて言うのもナンだがノリノリだな
pps:〈威圧〉は魅力ベースの技能なんで、実は魅力の高いキャラクターになるという
D16:デアリング・アクロバットはアクロバット・シーフの流れ。マスター・スパイは隠蔽変装、はったり。これらはローグの盗賊的方面をのばします
pps:デス・ディーラーは近接戦闘専門。11レベルの特徴“殺戮のアクション”はイカレてる。アクション・ポイントを使ったとき、すべてのダメージ・ダイスに+2ボーナス。3[W]のパワーで急所攻撃したら、3×2+2×2で合計10ダメージ増えます
D16:うわあ
pps:複数回攻撃した日にはもう
D16:しかも敵を殺すとその殺しぶりのあまりの残忍さに、敵がビビって攻撃ロールに−2ついてしまうとか
pps:これがフリー・アクションの無限回パワーというのがすごい
D16:ナンというか友達としても近くに行きたくないですが
pps:いや、別に狂戦士とかじゃないですよ。あとは、種族専用の道が3つかな。ティーフリング・ヘルストーカーハーフリング・クイックブレードは名前のとおり。ドレッド・ファングはドラウ専用
D16:いずれも軽戦士的に戦闘能力が高くなるね、ティーフリング・ヘルストーカーは防御方面につよくなる。視認困難を得たり、不可視になったり。
 フライングブレード・アデプトは投げナイフ、シュリケン使い。軽刀剣武器に“高クリティカル”がつく。
pps:こいつも手裏剣で敵の遠隔攻撃を打ち落とせます
D16:微妙にルールが違うのね(笑)
pps:レイヴン・ヘラルドは死神レイヴン・クイーンに仕えるアンデッド・ハンター
D16:なんでこれがローグに?
pps:3版にローグ・クレリックのマルチクラスを前提にした似たような上級クラスがあったからでしょう。Skullclan Hunterだったかな?
D16:なるほど。急所攻撃ダメージを[光輝]に帰られるのはまさにアンデッド殺しだね。あと、重傷状態のヤツにも攻撃がつよくなるのね
pps:ローグがアンデッドを苦手としていたのはもはや過去の話。死に近いやつに強いのは死神の配下らしいですね。シャダーカイにも似たような能力があったっけ
D16:儀式が使えるようになるのもおもしろいかな。
pps:そうですね。レイズ・デッドのように技能判定がいらないものなら問題なく使えますし
D16:まぁ、メインを張るかどうかはともかくとして使える人がいると言うのは良いね
pps:では、神話の運命に行きますか

神話の運命に思いを馳せてみる

D16:神話の運命はもう……。なんて言うか、上級クラス、ではないんだよな。能力がまさに神話的。もちろんゲーム的な能力に落としてあるんだけどさ
pps:能力の強さがどうこうというレベルではないですからねえ
D16:例としてアンダイイング・ソルジャーの能力を見ようか。
 21レベルのパワーは重傷のとき、マイナー・アクションで回復力1回つかうとぴったり重傷の値までhpが回復する。つまり、回復にもはや他者のパワーを必要としない。で、これだけだと回復力使う一方なんだけど24レベルになるとマイルストーンごとに1d4の回復力を得るようになるのでホント自前の回復がすごいことになる 
 で、30レベル。
 死んでも生き返る。次のターンに。
 ……いや、さ。
 本当に名前通り死なないってのはどうかと思うんだ。
pps:デザイナーもうちょっと頭使えよ(笑)
D16:これ、1回限りじゃないからね! 2回目死んだら遭遇終了時、3回目死んだら1時間後、4回目は12時間後、5回目以降は24時間後に復活する。
 これがゲーム上どんな意味を持つかはまだ、神話級を遊びきっていないので何とも言えない。もともと個人が死んでもパーティが全滅しなきゃどうせ生き返ってくるという話はある。
 けどね、
 この神話の運命は、このキャラクターがこれまで幾度となく「死」を逃れ生き延びてきた。それにより、もはやこのキャラクターの運命が逆にこいつを「死なせない」。永劫の戦いという運命を彼が選んだことを示している。
 神話の運命の選択はこのように、キャンペーンなどを通じてキャラクターがいったいどんな存在であるのか、その世界でどのような役割を果たすのか、それを表現しうる、表現すべき選択なんだな。
pps:すべての神話の運命は「キャンペーンが終わった後のPCの引退のさせ方」を考えさせています。神様にも勝てるようなレベルにまで育ってしまって、さあどうするのか。それを21レベルの時点から(あるいはもっとも前から)時間をかけて考えさせるようになっているわけです
D16:やー、やっぱりこのレベルまでがっちりと遊んでみたいねえ。ちゃんと背景世界との関わりを描いて。
pps:1レベルから遊ぶのは大変ですから、伝説級(の途中)から30レベルまで、でもいいですね
D16:そだねえ
pps:経験点の量だって好きに増やしていいんだし(DMGのお墨付き
D16:そのあたり、「君たちのプレイグループがやりたいように遊べ」っていうスタンスを一貫して取っている気がするね>4th
pps:真面目な話をしておいてあれですが、マーシャル・アーキタイプの引退のしかたはひどい。「道場を開いて後進を育成します」。30レベルでそれかよ!
D16:ええと、武勇系クラスのマルチクラスを極めることでたどり着く神話の運命ね>マーシャル・アーキタイプ
pps:アメリカ人は道場にどんだけ夢をもってるのかと
D16:あー、マス・オーヤマやブルース・リーの夢が世界に与えた影響を考えると……。彼らはまさに20世紀の神話と言えなくもない……のか?
pps:なるほど、本人は亡くなっても影響はずっと残るか……
D16:野見宿禰が相撲の祖とされているような感じで捉えるといいのでは。
さて、ほかにも神話の運命はいろいろある。ゴッドハンターというのはまさしく神殺し。
pps:能力はすべて「自分よりレベルの高いモンスター」にしか効果が無い。30レベルPCよりレベルが高いって、あとはデーモン・ロードくらいしかいませんね
D16:たしかに最終的には神と戦うほかなくなるなあ。パワーもそれを表現し得る。“神殺しの目”と呼ばれる26レベルパワーは凶悪。目標のもついかなる完全耐性や抵抗をも無視し、しかも使用者の攻撃に対して脆弱性を得る。
 そしてやはり意味論的能力の持ち主、ダーク・ワンダラー
pps:なんとなく24時間歩き続けると、行きたいところにいけます。アビスでも地獄でも
D16:一応、それまで知られてなかった近道やポータル、その他の移動手段を見つけて移動しているんだけどね。しかし、いかなる場所へも24時間。すげえ。しかも、自然環境や襲撃の効果を受けない。
pps:そういうものを見つける判定にボーナスが得られるとかじゃなくて、途中の過程をぜんぶすっ飛ばしてますから
D16:で30レベルともなれば、死んで12時間以内に蘇生されなかったら、当然の如く「あの世から歩いて帰ってくる」
そりゃ、24時間あればどこにでも行けるんだもの、あの世から帰ってくるくらいできるよナァ
pps:待てやコラ
D16:いやだって、ルールにそう書いてあるし。論理的帰結だよ!
pps:それじゃあしかたないですねー
D16:ですよねー。まぁ、こんな風にいろいろと想像を超えた神話の運命だけど、正直今の僕らはまだ語るべき言葉が少ない。ので、実践あるのみだ! セッションしようぜセッション!
pps:むりやり綺麗にまとめましたね!

*1:有名なデーモン・プリンス。ハイエナ頭の粗暴な種族ノールに崇められている

*2:ミノタウロスのデーモン・プリンス

*3:グールの王、現在はもっとも神に近いアンデッドのデーモン・プリンス、オルクスのエグザルフ

*4:キーワードの一つ、〈威圧〉の技能に習熟したキャラクターがこのキーワードを持った攻撃に成功すると、対象のは命中判定に−2のペナルティを負う