卓上戦諸録(D16)

D16の卓上ゲーム記録

Game Day PHB2、プレロールド・キャラクター活用指針

 この記事は、翻訳チームの塚田君に書いて貰いました。もちろんこれは各クラス、種族についての定跡ではなく、一つの意見ですが、ほとんどのプレイヤーにとっては初めてとなる11レベル、PHB2クラスのプレロールドを遊ぶのに非常に役立つと思います。

 セッション前に配って読んでもらえるように、記述は少なく、方針を示すものにしてあります。プレロールド・キャラクターに添えて当日渡すと良いでしょう。

 転載については柳田、塚田の記事であるということを示していただければ、自由にしていただいて構いません。
 是非、広く読んでもらって、楽しいGame Dayになりますように!

キャラクターシート(HJサイトのPDFに直接リンクしてます)

DM向け

 伝説級(11レベル以上)のPCは、追加のアクションを得るためにアクション・ポイントを消費した時に、さらに何らかの追加効果を得る能力を持っています。これは忘れがちなので、プレイヤーがアクション・ポイントの使用を宣言した時には逐一確認するとよいでしょう。
 魔法のアイテムのパワー、特に一日毎パワーの使用についてはPHBをよく確認してください。11レベルキャラクターは、一日に(2+マイルストーン到達分)回だけアイテムの1日毎パワーを起動できます。ただし、(今回の冒険シナリオについて言えば)一つのアイテムの一日毎パワーは、一回しか使えません。魔法のアイテムのパワーは忘れがちなので、PLが忘れていそうなら、思い出させてあげましょう

アヴェンジャー

基本戦術
 アヴェンジャーは撃破役にしてはACがかなり高く、さらにACを上昇させたり視認困難を獲得する能力も持っているため、斃れる心配なく安定して戦い続けることができます。
 常に1体の敵にのみ隣接:アヴェンジャーをプレイする際にもっとも重要なのは、常にオース・オヴ・エンミティの利益を受けられるようにする(=オースの目標以外の敵に隣接せずに攻撃する;味方に隣接するのは問題なし)ことです。そのためには、以下の2点を心がけましょう。
 戦闘開始直後:モンスター知識判定が終わったら、まずパーティ内でどの敵から倒すべきかを相談し、優先攻撃目標を集中攻撃する戦術を考え、どの敵をオースの目標にするかを決めましょう。仲間と肩を並べて戦うタイプの敵(指揮役、暴れ役)よりも前線から離れがちな敵(遊撃役や砲撃役)を狙うのがおすすめです。
 目標を孤立させろ:シクウェスタリング・ストライクで仲間に挟まれた位置に移動させる、パラディンやバーバリアンに敵の裏側に移動して味方側に押しやるよう頼むなど、目標が他の敵に隣接できない状況を作り出しましょう。

○特殊な能力
 このPCのパワーのほとんどはシフトや瞬間移動などを行なうシンプルなものですので、説明は特にいらないと思います。それ以外の難しいパワーについてだけ個々に説明しておきます。
 チャネル・ディヴィニティ・ディヴァイン・ガイダンスはオースの目標に対する味方の攻撃が外れたら即座に使いましょう。敵にアンデッドが多い場合を除き、温存する意味はありません。
 クラウド・オヴ・ダークネスの利益は非常に強力ですが、よくよく考えて使わないと味方の行動を邪魔してしまうというデメリットの方が大きくなってしまいます。戦場が狭いときはダークファイアーの方を使いましょう。
 一日毎パワーは早めに使う:常に2回の攻撃ロールを行なうアヴェンジャーにとって、一日毎パワーの「ミスしても半分はダメージが入る」という特徴はあまり意味を持ちません。テンプル・オヴ・ライトやボンド・オヴ・フォアサイトはその遭遇の間ずっと効果が持続するタイプなので、惜しまず1ターン目に使いましょう。

○その他
 このPCは高クリティカルの武器と《破壊的クリティカル》を併用しているため、クリティカル・ヒットの際の追加ダメージは+4d4(高クリティカル)+1d10(《破壊的クリティカル》)+3d6(魔法の武器)となります。アヴェンジャーは攻撃ロールを2回ロールして好きなほうを選べるため、クリティカル発生確率は特に高くなっていますので、クリティカル時にロールするダイスのセット(4d4+1d10+3d6)はあらかじめ手元に準備しておきましょう。プレイ時間をかなり節約できるはずです。

バーバリアン

○基本戦術
 バーバリアンは撃破役ですが、ローグやレンジャーのような追加ダメージ能力を持ちません。その代わりに、他のクラスと違って11レベルの時点で無限回パワーのダメージが増加し、激怒すればさらに強化されます。このため、バーバリアンの遭遇毎パワーのダメージは無限回パワーと大差なく、むしろダメージ以外の特殊な効果を目当てに使うものとなっています。
 戦闘開始直後:戦闘が始まり、モンスター知識判定が終わったら、その戦闘でもっとも役立つのはどの[激怒]パワーかを考え、1ターン目に一日毎攻撃パワーのいずれかを使用して激怒を開始する。
 とにかくダメージを与えろ:敵の行動を阻害したりペナルティを与えたりするのは仲間に任せ、ひたすらダメージを与えて敵を倒すことを考えましょう。敵を倒すたびに一時的hpを獲得できるのですから、敵にとどめを刺すのはバーバリアンの仕事であり権利です。「残りヒット・ポイントがわずかな敵をバーバリアンの大ダメージでオーバーキルするのはもったいない」などと考えていると、自分の首を絞めることになります。
 多くの敵に隣接するな:フレンジード・バーサーカーの“血塗られた道”は厄介な能力です。(兵士役などの)ACの高いモンスターに隣接されると、それを無視して遠くにいる他のACの低い敵を狙うことができなくなってしまうのです。間合いの長さを活かし、可能な限り優先攻撃目標以外の敵に隣接しない場所で戦いましょう。
 移動不能は致命的:このキャラクターにとって、間合い内に敵がいない時の“動けない状態”や“拘束状態”は1ターン行動不能を意味する厄介な効果です。これらの攻撃をしてくる敵は真っ先に倒しましょう。

○特殊な能力
 《強打》の使用はほどほどに:敵のACが充分に低いと推測できる材料が手に入るまでは、《強打》は使わないでおきましょう。使うパワーにもよりますが、攻撃ロールのダイス目が8程度でもヒットするようなら《強打》を使った方がダメージ期待値が高くなると思います。瀕死の敵に無駄に《強打》を使わないよう、敵のヒット・ポイントにも気をつけましょう。また、アクション・ポイントを使った際には、ミスしても半分はダメージが入るので、何の心配も無く《強打》を使うことができます。これらの処理が面倒くさいと思われるなら、《強打》はいっさい使わないことをお勧めします。
 ウォーフォージド・リゾルヴはなるべく重傷になってから使いましょう。ただし、深刻な状態異常を被っている時は、たとえ1ダメージも受けていなくても、惜しまず即座に使うべきです。
 ストライクバックスによる反撃は、自分に攻撃がヒットしたらすぐに使うべきです。戦闘の後半になると、他のことで頭がいっぱいになって使い忘れる恐れが高くなります。

パラディン

○基本戦術
 このパーティにおけるパラディンのもっとも重要な役割は、バーバリアンを守ることです。パラディンとバーバリアンのACには6もの差が付いているため、パラディンにマークされた敵は攻撃ロールに−2ペナルティを受けてなお、パラディンを攻撃するよりもバーバリアンを攻撃した方が命中確率が20%も高くなります。くれぐれもバーバリアンに攻撃が集中しないよう気をつけましょう。
 戦闘開始直後:1ラウンド目はドラゴン・ブレスで雑魚を減らすことと、その戦闘の前線となるべき位置まで移動することを最優先しましょう。移動速度が足りなければ疾走を行ない、機会攻撃を受けてでも敵の間に入り込むべきです。そうすれば、マークの有無に関係なく、敵の攻撃はパラディンに集中するでしょう。
 命中率の高さを意識:パラディンのパワーにはAC以外の防御値を狙う[武器]パワーが多いため、高い命中率が期待できます。無傷の敵にダメージを与えることよりも、敵の数を確実に減らすことを優先しましょう。
 支援系のパワーは積極的に使う:味方1人の防御値を上昇させたり抵抗を与えたりするパワーは、「危なくなったら使おう」などと考えて温存していると使いどころを逃してしまいがちです。むしろ1ターン目から積極的に使用し、「これだけの援護をもらえれば多少リスクの高い行動を選んでも大丈夫」という安心感を与えることを心がけましょう。

○特殊な能力
 ディヴァイン・チャレンジの目標には、バーバリアンを攻撃されるとまずい敵(命中率は低いがダメージの大きい敵、厄介な状態異常をもたらす敵など)を選びましょう。ヒット・ポイントの多い敵(このレベルのモンスターはhpが100以上あるのが当たり前です!)は、11ポイント程度のダメージは無視してパラディン以外の目標を狙ってくる可能性が高いことにも注意すべきです。
 ドラゴン・ブレスのダメージは、このレベルのキャラクターのヒット・ポイントと比較するとかなり低く、しかも万一クリティカル・ヒットしてもダメージは増えません。雑魚や瀕死の敵を片付けるためなら味方を巻き込んでも問題はないでしょう。
 アクション・ポイントは味方全員の防御値を向上させる効果がメインと考えましょう。つまり、敵の数が多い戦闘序盤に使ったほうが利益は大きくなります。同様の理由により、プロテクティング・スマイトもなるべく早めに使いましょう。
 重傷時のボーナス:このキャラクターは重傷になった時点ですべての攻撃ロール+1、ダメージ・ロール+2というボーナスを得ます。戦闘が白熱してくるとこういった細かなボーナスは忘れがちなので気をつけましょう。パラディンの能力が防御や回復に主眼を置いているのは確かですが、攻撃を忘れていい筈はありません。

バード

○基本戦術
 バードは指揮役ですが、味方に数値的なボーナスを与えるよりも、敵や味方を移動させたり、敵に嫌がらせをしたりするのが得意なクラスです。豊富な強制移動能力を活かすため、挟撃など敵味方の位置関係だけでなく、戦場の高低差などの地形にも気を配りましょう。
 移動速度の低さに注意:このキャラクターは、PCとしては非常に珍しいことに、移動速度が4しかありません。基本的には遠隔攻撃役ですが、射程が5のパワー(これにはhp回復パワーも含まれます)を使いそびれないように、なるべく味方前衛の近くにいるよう心がけましょう。
 遭遇毎パワーに気を取られすぎない:このキャラクターはマルチクラス特技によって2つの遭遇毎パワーを得ているため、遭遇毎に使えるパワーの数がとても多くなっています。毎戦闘で遭遇毎パワーを無理に使い切ろうとはせず、無限回パワーの方が効果的な状況では素直に無限回パワーを使っておきましょう。
 敵の防御値を知ろう:このキャラクターのパワーには、頑健、反応、意志とさまざまな防御値を狙うものが揃っています。できることなら、各モンスターについて、それぞれの防御値に対する攻撃がいくつでヒットしたかを記録していくとよいでしょう。これはバードだけでなくパーティ全員の役に立ちます。

○特殊な能力
 アンラックは、厄介な遭遇毎パワーや再チャージのパワーをこれから使おうとしている敵に使うのがベストです。
 とっさの隠れ身の活用は困難です。遮蔽や視認困難を得るためには前線から遠ざかっていた方がよいのですが、移動速度の低いこのキャラクターがそれをやると肝心な時に前線に届かない可能性が高くなってしまいます。積極的に狙おうとはせず、たまたま遭遇開始時に遮蔽があったら儲けもの、くらいのつもりでいるとよいでしょう。
 智の徳を使う機会は、1ラウンドに1回くらいは必ずあるはずです。忘れず毎ラウンド使いましょう。シフトでなく横滑りなので、移動困難な地形や“つかみ”を無視できる点は重要です。
 ミスディレクテッド・マークによるマークは、ディヴァイン・チャレンジではなく、単なる“マークされた状態”の効果のみを与えます。2種類のマークを混同しないよう注意しましょう。
 ソング・オヴ・ディフェンスを歌い始めると、それ以後マイナー・アクションで使用する他のパワーを使いにくくなります。このパワーを使う前によくよく考えましょう。
 ワーズ・オヴ・フレンドシップはNPCへの対応に大変役立ちます。剣と魔法だけでは何ともならないとき、機転がものを言うはずです。

インヴォーカー

○基本戦術
 インヴォーカーはウィザードにくらべて打たれ強く、味方を回復ないし援護する能力も持っていますが、その半面ウィザードのように一発で戦況を激変させるパワーは持っていません。敵の数、役割、強さなどに応じて、どういった支援や嫌がらせがもっとも効果的かをそのつど考えましょう。
 近接型多数の場合:1ターン目はグラスピング・シャーズでの足止めが効果的です。敵たちが2倍移動または疾走でむなしく手番を費やしているうちに、自分たちに有利な場所に戦線を構築しましょう。敵が広範囲に散らばっているならバインディング・インヴォケーション・オヴ・チェインズの出番です。
 遠隔型の敵に対して:味方前衛が接敵できる位置にいるならチェインズ・オヴ・デスまたはアンティパシィ・グラヴズで足止めして真っ先に倒しましょう。遠隔型の敵が2体以上固まっている場合はシアリング・オーブで無力化できます。
 遠隔範囲パワーを出し惜しみしない:敵味方の入り混じる乱戦になると、遠隔範囲・爆発1の遭遇毎パワー2つは非常に使いにくくなってしまいます。“誓約発現”をうまく使い、味方の前衛にはなるべく直線的な戦線を構築してもらい、それでも無理なら敵1体に対しても惜しみなく使ってしまいましょう。
 ある程度前線に近づけ:射程の短いアストラル・テラーや“破滅のアクション”を生かすために、前線から遠ざかり過ぎないよう心がけましょう。運悪く1、2体の敵に狙われたとしても、そう簡単に死にはしません。バーバリアンに攻撃が集中するよりはマシと考えるべきです。
 逃げる敵にとどめを刺せ:ほとんどのモンスターにおいて、意思防御値はもっとも低く攻撃がヒットしやすい防御値です。このインヴォーカーのパワーは意思を狙うものが多く、また“手負い狩り”によるボーナスもあるので、前線から遠い敵にとどめを刺すのはインヴォーカーの仕事です。
 自分のターンが終わっても気を抜かない:このキャラクターは即応アクションやフリー・アクションのパワーを4つ以上も持っています。それぞれのパワーのトリガーをよく読み、トリガーの条件が満たされたなら忘れずそれらのパワーを使いましょう。

○特殊な能力の解説
 チャネル・ディヴィニティの使い分け:プリザーヴァーズ・リビュークはレイヴン・クイーンズ・ブレッシングよりも回復量(正確には一時的hpですが)は少ないですが、回復力を消費しないという利点があります。両者をうまく使い分け、全員の回復力が均等に減少するようにしましょう。
 ディマンド・ジャスティスはインヴォーカーの一日毎パワーに対するセーヴを再ロールさせることができます。そのためには、敵に(セーヴ・終了)の効果を与えたら、必ずその敵から10マス以内に留まり続けるべきです。

○その他
 このキャラクターの攻撃力はやや低めに見えますが、“破滅のアクション”とロッド・オヴ・バインディング・オーのパワーを組み合わせると、1日に1回だけ「全ダメージに+5ボーナスを得ての3連続攻撃」が可能になります。ACの高い厄介な敵がいる場合、このコンボで一気に倒すことも考えてみましょう。