卓上戦諸録(D16)

D16の卓上ゲーム記録

DMG2についてのつぶやき

 以下、Twitterでの呟きをまとめた記事。

 TLでTRPG話をする一人キャンペーン。今日は翻訳予定発表された『ダンジョン・マスターズ・ガイド2』について。現在作業中ですが、これはすごいわ。WoCが本気で次代を担うDMを育てる、そのための製品を投入してきました。
 これまでDMGにあった内容ってのはRPGのセッション・ハンドリングのためのルールやDMが主に使うルールの解説だったんですが、D&D4thの場合、その辺のルールはかなりシンプルにまとめられたので最初の『ダンジョン・マスターズ・ガイド』で基本的に事足りたわけです。では『ダンジョン・マスターズ・ガイド2』でなにをするか。それがこれ、DMG2。本格的にDMを育てる「DM教本」となってます。
 伝説級(11〜20レベル)の冒険がどのようなものであるか、遭遇はどのような意図を持ってデザインすべきか、プレイグループをどうハンドリングするかなどについて30年の蓄積を経て解説してくれてます。合間合間のデザイナーのコラムがまた楽しい。
 この教本、本当に実用的なものとなってまして、D&Dについての記述ではありますがもはやRPG一般についての記述にもなっています。特に遭遇や冒険の組み立てかたに関しての記述は遭遇というプラットフォームを用いて、どのように冒険を記述するかという方法論になっていると感じます。4thのDMGとDMG2、これを虚心坦懐に最初から一文一文読んでみてください。あなたのセッションでの悩みを同じように悩んだ先達の知恵がそこに埋め込まれています。
 もちろんルール的な面も新機軸がありまして、「かたちとして与えられない褒賞」がおもしろい。D&Dは4thになって明らかに魔法のアイテムがPCのリソースになりました。一定レベルのPCなら一定の魔法のアイテムを持ってることを前提にゲームバランスが取られています。高レベルになるとそうした「モノ」によってクリスマスツリーのような英雄ができてしまうわけですが、そこへ別のアイデアが投入。
 「英雄的行為に対する神の祝福」、「師匠が教えてくれた奥義」こういった「形のない宝」をPCのリソースとしての魔法のアイテムに導入することにしたのですよ。つまり、+2ソードを手に入れる代わりに、師匠が“霞の小太刀”を教えてくれたりするのです。これ、英雄像がかなり広がります。ジャングルの中からやってきた英雄は、石器の槍と毛皮しか身につけていないけど、太古の森の祝福を受け、いかなる魔法の武器・鎧を身につけた者よりも強力であったりするわけです。
 カバーされているのは、Divine Boon「信仰の恩恵」、Legendary Boon「伝説の体現」、Grandmaster Training「老師の教え」と言ったあたり。
 たとえば、過去の竜殺しを儀式的に再現することでPCに対ドラゴン能力を付与したり、101人のオークを倒したことにより、その武器がオークベインになったりと言った、”何事かを成し遂げたことにより力を得る”と言うシチュエーションが再現できます。このあたりはDMとPLの間でいくらでも話をふくらませることができると思うのですよね。「DM、この武器でドラゴン10頭倒したら、ドラゴン殺しの武器の力が宿るってどう?」とか
 
 現時点ではそれらの「形にならない報償」についてもGP換算額が載ってますので、通常の魔法のアイテムと同じ扱いになるのでしょうね。ただし、DMとの相談が必要です。


 で、これをmixiの日記にのっけたところ、翻訳チームの岡田さんよりフォローが。

 4eDMGやDMG2では他の章でもわりと「単なるゲームシステムの枠にとらわれない遊び方」が提案されてますが、それと同時にさんざん口を酸っぱくして「でも参加者全員がそれを面白いと思えないならやめとけ」とか「そういうのを面白いと思える人と思えない人がいる」とか連呼してるんですよね。

「メンツの空気読むのはDMの大事な仕事ですよ」って言い切ってるのも、4eデザイナー陣の偉いところかと

 これはホントにそう思いますね。
 つまり、各卓でのハウスルールを奨励しつつ、それが上手く廻るようなプレイグループを作ろうぜ、というスタンスに立っているように思えます。
 すべてをゲームのルールで記述するのではなく、RPGの特徴であるDMという部品をより洗練させ性能を上げてゆくことで対応させてゆく、僕はDMGやDMG2にそんな姿勢を見て取ります。

ダンジョンズ&ドラゴンズ ダンジョン・マスターズ・ガイド第4版 (ダンジョンズ&ドラゴンズ基本ルールブック)

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