卓上戦諸録(D16)

D16の卓上ゲーム記録

穴鬼ヶ原の百鬼王

 ここ最近、シャドウフェルに殴り込んだり、GameDayに邁進したり、HJコンでもいろいろしてるわけですが、改めて実感したのは、
「実プレイを! 一心不乱の実プレイを!」
です。
 これ、プレイヤーとして4thの楽しみ方を実感したのが大きいんですが、伝説級とか神話級がどんなことになるのかを知りたいってのがあるんですよ。
 
 ということで、伝説級の第1作目、「King of the Trollhaunt Warrens」を遊んでみようと思ったわけです。このシナリオ、海外のファンサイトEnWorldでも賞を取ったんじゃなかったかな。
 以前紹介したときはこちら。

 ネタバレにならない程度にちょっと冒頭を紹介してみましょう。*1

○「穴鬼ヶ原の百鬼王」
 ゼランド男爵領の辺境はるか、そこに「月のきざはし」という小さな街がある。南北交易道の中央の宿駅であるその「月のきざはし」は、また妖精境フェイワイルドへつながる太古のポータルがある場所でもあった。
 その街の東には穴鬼ヶ原(Trollhaunt)として知られる、危険な湿原が広がっている。湿地、茂み、小さな流れ、灌木茂る丘が迷路をなしているのだ。遠い昔、この穴鬼ヶ原は悪鬼国ヴァルダルと呼ばれた国の一部であった。悪鬼国ヴァルダル、それはトロルの戦闘氏族と彼らに仕える化け物たちの暴虐の楽土だった。
 数世紀の昔、この悪鬼国ヴァルダルは墜ちた。その面影は、じめじめとした古墳や霧に覆われたわずかな石造りの城跡にのみ、どうにか残って今に伝えられている。穴鬼ヶ原に住んでいたトロルやその他の忌まわしい化け物どもは、再び互いに喰らいあう残忍なる未開へ逆戻りした。そして、その危険な土地に敢えて踏み込むような愚かな旅人はいなかったのだ。しかし、穴鬼ヶ原のものごとはいま、大きく変わりつつあった。

 強大なる穴鬼の酋長スカルマドが同族の不和と小競り合いに終止符を打ち、ねじくれたフォモール族の使う太古の魔道の技によって自身を“穴鬼ヶ原の百鬼王”と号したのである。

 今やスカルマドと配下の化け物たちは、暴虐の矛先を人間の居住地に向けつつある。この数世紀の間で初めて、穴鬼ヶ原のトロル達は確固たる意志と智慧を備えた指導者を迎えたのだ。そしてその指導者は愚かなる同族達を従えて強健な軍を作り上げる。
 悪鬼国ヴァルダルは蘇った。何者もスカルマドの力をとどめることはできない。「月のきざはし」はこの暴虐の群れが蹂躙するいくつもの都市、その最初の犠牲に過ぎないのだ。
 
 悪鬼国とか百鬼王とかはじつは原文に無かったような気がする。Trollkingくらいは言ってたかな。まぁ、伝説級だからこれくらいのハッタリはあっていいよね♪
 このあたりだけみると3.5の名シナリオ「赤き手は滅びのしるし」を彷彿とするでしょうが、あちらが120ページ超あるのに対しこちらはPLに魅せるためのイラストや新規モンスター、アイテム等を含めて100ページそこら。4版の特質として1遭遇はだいたい見開きで掲載→ページを要する、事を考えると戦役というよりは局地戦をいかに戦うかって形になってます。
 なによりも、ホブゴブリン達と違って敵の属性のほとんどが“混沌にして悪”
 赤い手の軍勢が組織や補給と言ったものを持ち、練度が高いのは秩序にして悪だったからですが、こっちの連中はすごく強い“北斗の拳の悪役”です。もっとも全員が全員そう言うわけではなく、かのトロル王スカルマドが穴鬼ヶ原の異種族を動員できるようになったのには相応の理由があるのですが……。これ以上はネタバレなのでここではナシ(笑)
 
 実際に1発目のセッションを行なってきたところですが、悔しいことに戦闘遭遇3つではPC達を重傷に追い込むことができなかった……。
 最初の小手調べ程度の遭遇では、やはりまともに連携を考えて組まれたPC達には歯が立ちません。いっそ爽快なくらいにやられました。
 
 実際にどんなPC達だったかは、いずれ紹介するとして、今回PC達には導入用のハンドアウトを提示し、それを選んで貰いました。これ、冒険シナリオの中で指示されてる副次クエストを個別にPC達に与えたんです。
 このシナリオは連作シナリオの一部ですから、割と用意されてるヒキはあっさり目。
 なので、これを素材にしてPL陣にそぐうように盛りつけるというのが良い感じ。
 これ、おそらくP1以降の冒険シナリオは特にそうで。
 
 このシナリオの中ではっきりと書かれているんですが、「本書には穴鬼ヶ原で冒険の舞台となる所を、おそらくもっとも起こりうる順番で記してある」という書き方がしてあるだけで、イベントの順番やPC達とのインタラクションについては要点しか記してません。そのかわり、個々の遭遇についてはじっくり書いてあります。スパロボファイアーエムブレムの構成に似てますね。戦闘ステージの間にイベントがある。
 これ自体は全然悪くないんですよ? 初めてDMする人がシャドウフェル以降積み上げていって、P1で野外や拠点防衛とかをするとなれば、こういう風に一番起こりうる遭遇、あるいは行なわせたい遭遇をしっかり記しておくのがいい手だと思います。
 ただし、PC達の行動にどう対応するか、そこがちょっと弱い。もう少し背景や、対応などを詳しく記しても良いんじゃないか、ページ数の関係もあるけど、ちょっと“不満でした”。
 
 過去形にしたのはDMG2を読み、そしてちらっとGameDayDMG2の噂を聞いたからです。
 ああ、つまりこのシナリオは根幹となる遭遇を用意し、それをいま目の前にいるPC陣達に向けて改めて演出し、ふくらませることを想定しているのだな。
 そして、それ以上の事をしたいと望むマスターには、すでにDMG2などで十分なフォローをしているのだったっけ。と言うことです。*2

 というわけで「よっしゃ、ここはひとつP1シナリオをDM自身も思うさまに遊んでみよう」と思ってゲームを始めたわけです。

King of the Trollhaunt Warrens: Adventure P1 (D&D Adventure)

King of the Trollhaunt Warrens: Adventure P1 (D&D Adventure)

*1:もちろん、訳語その他は完全に私家版なので翻訳されたときに違うことになってもご容赦

*2:ちなみに、DMG2を買ってなくても、もっとダイナミックにスカルマドとPC達とを戦わせたいと思うDMがいるとしたら、その人はたぶん既に何らかの手法を身につけてるんじゃ無かろうか