穴鬼ヶ原DM記録:第3回
キャラ紹介とコメントの続きー。
第1回、モンクのヤンはこちら。第2回の武勇ペア、ファンギーとリメインはこちら。
冒険がどんな感じだったかは田中天さんの日記に詳しいのでそちらをご覧下さい。
貪る炎、ザラストロ
火魂ジェナシ♂・ウィザード&スペルスカード/ワイルドファイアー・ジェナシ
パワーホリックのあまり自ら呪痕を受け入れた炎の魔術師。百鬼王不死の噂の真相を確かめるため、月のきざはしへ。うんざりするほど火ダメージをぶちまける程度の能力を持つ。
プレイヤーは天さん(id:tentana)。
ダメージ+状態異常のパワーを広範囲に撒き散らし、敵の手数を潰しまくる制御役の鑑。また、脆弱性を与えつつ属性攻撃を与えることで火力を底上げしてみたり、スペルスカードの力で外れそうな攻撃を当てたり、ワイルドファイアー・ジェナシの能力で隣接した敵を潰したりと、細やかな面でも戦局を操り、仲間に理想的な戦場を提供するスタイルでした。
あとDMは「こっちになんかさせてよー」って泣いてた。
ザラストロはスペルスカードとワイルドファイアー・ジェナシの伝説の道を組み合わせた、撃破役並の火力をもつ制御役。最初データ見たときびっくりした。だってウィザードなのに【筋力】が18もあるんだもの。けど、ビルドを見て納得する。ジェナシの種族特徴やワイルドファイアー・ジェナシのクラスパワー、そしてスペルスカードによるパワーは肉体系能力を基礎とするのでジェナシなら【筋力】を上げたくなるわけだ。『秘術の書』でジェナシのウィザード特技により【筋力】ボーナスを呪文ダメージに加えられるようになったので高い筋力は無駄にならない。さらに防御値のバランスもよくなる。
クラス特徴は具備のトウム。トウムに記された遭遇毎パワーを、自身の遭遇毎パワーを費やして発動させることができる。ウィザードの抽出の広さを更に広げるほか、ワンドやオーブの装具熟達とはことなり高い副能力値が必要とされない。
うんざりするほどの火ダメージというのは誇張ではない。無限回パワーのスコーチング・バーストですら1d6+14のダメージである。《二丁装具》とジェナシの種族特技《元素力増強》で2冊のトウムのボーナス、【筋力】ボーナスがのるからだ。
これを《呪文効果範囲拡大》で広範囲にばらまき、味方を巻き込むことには《ウォー・ウィザード魔法》*1で対応する。無限回のスコーチング・バーストが爆発2になるんだぜ!?
しかもこのキャラクター、近接爆発、近接噴射系のパワーも多い。ワイルドファイアー・ジェナシのパワー、ファイアーソウル・コンバッションなんて爆発5の敵味方識別攻撃なんだもの。
で、これらに追加して意志狙いのヴィジョンズ・オヴ・ルーインなど、こちらをロックする手段も忘れない。ウィザードの常としてまだまだ隠し技がありそうで楽しみ。
ザラストロはすでにステキなイラストが公開されている。この面相で「出会う女の頭のてっぺんからつま先まで舐めるように見つめ、嫌悪感を誘う」とか「けれど笑った顔を見てみたいと思わせる飄々としたところもある」とか、それ夢枕獏の宇奈月典善と真壁雲斎ほかがランダムに混ざってませんかとか。
実際のゲーム中では、エクストリーム婚活中で男女の件についてはとっぽいヤンと、枯れてるんだか漲ってるんだかわからない老人ザラストロの会話がえらく楽しかった。
そいや出した美女が鬼女とか沼ハグの変身姿というのも何となく夢枕獏っぽい。
このザラストロの導入はこんな感じ。
穴鬼ヶ原の凶兆:
人は死と破滅を恐れる。例えそれがただの前兆であり、まだその姿を現していなかったとしても。
ゆえに、あなたは常に人里を追われてしまうのだ。
あなたは、破滅を見いだすことに長けている。それは神からの幻視であるかも知れないし、冷徹な状況の分析によるものであるかも知れない。原野の風があなたに破滅の姿を見せるのかもしれない。
手段は問うまい。あなたは見たのだ。
“恐るべき力が「月のきざはし」の近く、穴鬼ヶ原に戻り来る”
“その力はトロルの王の姿と巌から形づくられた大釜のかたちをしている。何よりもおそろしいことに、そのトロルの王は不死身。死ぬことのない身なのだ。”
“そして、死なぬ身体の王を滅ぼすことができるのは、目の前にいる彼ら(PC達)そして、この凶兆を知った己のみ。”
クエスト経験点:700(副次クエスト)自らの得た幻視/予測の真実を解き明かしたなら。
この導入も用意されたものを使用した。冒険シナリオの方では予言者からこの情報を得ることになっているので、H1〜3で知り合ったNPCとかから”前兆”を聞くことにするとちょうど良いかも。ただ、せっかくこんなに良いキャラクターがいるので凶兆を見たのはPCと言うことに。
田中さんはこの導入を、「力を渇望するウィザードで、冒険に関わったのもトロル王スカルマドの不死の秘密を我がものにするため」という形でザラストロに織り込んでくれてます。
さて、ちょっと本筋から外れるけど、導入でちょっとでてきたので、トロル王の話をしよう。
D&Dにおけるトロルというのは、強力だが頭のあまり良くない巨人でなかなか死なない暴れ者、と言う扱いになっている。【知力】の値を見ても、動物よりはマシ程度の扱いがほとんど。だが、このトロル王スカルマドはそうではないらしい。
けど、ちょっとイメージわかないなぁ……。せいぜい北斗の拳に出てきた牙一族の牙大王かしらん……等と思っていた所、本棚にヒントを見つけた。ポール・アンダーソン『折れた魔剣』である。
- 作者: ポール・アンダースン,関口幸男
- 出版社/メーカー: 早川書房
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エルフの大守イムリックとトロルの王イルリードの間の戦に、取り替え子としての人間が巻き込まれ、大きな役割を果たしてゆく。北欧神話やケルト神話をモチーフにしたこの小説の中で、たしかにトロル達はエルフに比べ荒々しく暴虐で洗練されていなかったけれど間抜けではなかった。
そういえば、この話の中でもこんなフレーズがあったのでした。
「それに、はるかな遠方から馳せ参じてくる種族もある。バイカルのデーモン族、中国(カセイ)のシェン族、日本(チパング)の鬼族、ムーアの砂漠の小鬼(インプ)族などがそれで〜」
完璧ですな。
と言うわけで、スカルマドの配下はあの小説に出てくるトロルをモデルにしようと思ったのでした。こういう風にイメージ作っておかないと、ただのやられ役になっちゃうんですよね。
死の発明家、バラザール
エルフ♂、アーティフィサー/アルケミスト・サヴァーント
第2次スカイファイアー戦争で悪名をはせた死の発明家。両陣営のヘイトリスト上位に載った為カリムポートを離脱。幼馴染からの救援要請を受け月のきざはしへ。広汎に仲間を強化する程度の能力を持つ。
プレイヤーは黒野さん。
技の指揮役。
敵を攻撃しつつ仲間に防御バフ、仲間がマジックアイテム使うと回復、など一粒で二度美味しい状況作りまくり。指揮役二枚チームな事もあって多方面で仲間を援護する渋い支援キャラでした。
あとDMは「何でそんな早く移動してくるの」って泣いてた。
ラストは5人目の男、バラザール。他のキャラクターがかなりフリーダムに自キャラを作ってきたため、いろんなところのユーティリティを一手にまかなうキャラになった感じがあります。そう言う意味でも5人目の男。でもって、アーティフィサーというのはそれが可能なクラスなのです。
『冒険者の宝物庫』でたくさん追加された錬金術アイテムや魔法のアイテムを作成する能力がキャンペーンでどのように効いてくるのかが楽しみです。
4版のキャラクターが作成できる魔法のアイテムには“自分のレベル”と言う上限がつきます。DMGによればPC達が冒険の報酬として手に入れる魔法のアイテムの指針はレベル+3〜4ってとこなので4thのでの自作魔法アイテムってのは、“脅威の新兵器を我が手に”というよりは“空いたスロットになにか良いの無い”という使われ方になります。
ところが、アーティフィサーの収録されている『エベロン・プレイヤーズ・ガイド』には《名匠》*2や《調合の名人》*3という特技がありまして、PCの手で脅威の新兵器を作ることができるのです。
で、バラザールはその両方とも持っている。
特に錬金術アイテムについては、PC達が戦場で使うのも有利ですがNPCに使わせられるのが大きい。今回の冒険では火と酸でとどめを刺さなければ死なないトロルが多量に出てきて、一般兵は正直お手上げなんですがバラザールが錬金術師の火などをNPCに配布することで戦える。
実際に、PCが揃って街の防衛策を考えはじめたときには、“死の発明家”の二つ名の通り「ここにドラゴンファイアー・タールという強燃性の物質があります。これなら敵を焼き尽くせます」、「時限爆弾もあります」、「このグッドナイト・チンクシャーを飲食物に混ぜれば敵は前後不覚の眠りに……」などなど。
そいや、吉井さんのイラストでなぜか手に付け髭持っているんですがこれは、
DM/NPC:(感嘆して)「すばらしい!」
バラザール(黒野さん):「いやなに、この程度のこと」と言って顎髭をひねります。
DM/NPC:「スカイファイアー戦争の名声は本物だった!」
リメイン(吉井さん):……なぁ、バラザールってエルフじゃなかった? 髭生えてたっけ?
全員:……。
バラザール:(しれっと)では付け髭を外しまして……。
全員:『おイぃい!?』
というやりとりがあったせいでして……。
で、いざ戦闘になったらまるでおもちゃ箱をひっくり返したような技の数々。僕の方がEPGをちゃんと読み込んでなかったってのもあるのですがびっくりするようなことばかり。で、一番驚いたのは、“ぬるぬるカタパルト”かなぁ。バラザールの手番にパーティ全体が8マスだか10マス移動してくるの。
アーティフィサーの2レベル汎用パワーアーケイン・スプリングボード/秘術の跳躍台*4を造り、そこに仲間を汎用10レベルパワー、スリック・コンコクション/混合ワックス*5で送りこむと言う技。横滑り5マスでジャンプ台に送りこまれた仲間はまるでカタパルトで射出されるように戦場に5マスジャンプし、そこから手番を開始。
敵の砲撃役とかにとっては悪夢ですよこれ。
他にもオルタード・ラックを使って「運命改変回路」とかいろいろされたなぁ……。
そんなバラザールが選んだのはこの導入。
助けを呼ぶ声:
アイツとの腐れ縁も長い。
アイツから声がかかるときはいつだって厄介事だった。なんだってこんなになるまで、一人で抱え込もうとしているのか。そんな風に思いながら、いつもあなたはアイツの元に駆けつける。それは過去に受けた恩ゆえか、負い目か、借りか。それとも、惚れた弱みなのか。
今朝、あなたの耳にセンディングの儀式がアイツ、「月のきざはし」の市長、美しきキラナ・ドーラムの言葉を伝えた。
「お願い、助けて。あなたの力が必要なの。あのトロル達は、ただものじゃない。この街は、どうなってしまうのか……」
クエスト経験点:500(副次クエスト)キラナのもとを訪れ、穴鬼ヶ原で何が起きていることの調査を受ける。
キラナとバラザールは旧知の間柄にしていただきました。エルフのバラザールからするとハーフエルフのキラナはあっという間に成長する感じで、一方キラナからは全然変わらないんだろうなあとか思って、幼なじみ話をつけたらいろいろ茶化されましたがそれはそれ。
物語の導入としては、リメイン+ファンギーが月のきざはしでトロルに備えるために傭われ(リメインには個人的理由が別にありますが)、キラナに呼ばれたバラザールが彼らと合流。リメインが、腕利きをさがすということでザラストロに連絡を取り、ザラストロと一緒にゼランド男爵領にいたヤンが男爵の息子を捜しに月のきざはしへ。ザラストロはヴィジョンを元にヤンに同行することに。
第一遭遇(P1のBook1に乗ってる奴ね)で合流してもらうために、「武器を運んでいたキャラバンがトロルに襲われた、回収を」というヒキをリメイン、ファンぎー、バラザールに。月のきざはしにむかっていたザラストロとヤンがそこに出くわすという流れ。で、トロル達と出会った……。
以降は田中天さんのレポに詳しいので、こちらでは敢えて略。
ここではP1冒険に僕がどのように手を入れたかを書くことにする。以降かなりDM向け記述がメインになるけれど、ネタバレは隠すのでご心配なく。
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