卓上戦諸録(D16)

D16の卓上ゲーム記録

「西の善き魔女」

 さて、電光寺先輩による同名小説を元ネタにした『西の善き魔女』キャンペーンも終盤を迎えた。
 今回は故郷グラールに以前よりは近づいた、スペインアルハンブラ風の港湾城市でのシナリオ。
 思えば、敗戦の責を受け女王候補カレン様とともに、地球を半周した東の果ての草原に飛ばされてからはや半年以上。漸く故郷の言葉を聞くことができ、前回シナリオ終了時の感慨はひとしおだった。
 このキャンペーンのコンセプトの一つは「少女漫画風」である。(もう少しいい言い方を電光寺先輩はしてたと思う)冒険はするが、それはそれとして血生臭くなく、殺伐ではなく、まるで『辺境警備』のような世界観でゲームをしよう……というのがあったと思う。
 そう、そしてそれは確かに一面では成功している。今回の例で言えば、それは深夜のお茶会であったり、自分の出自に関して空想をする少女であったり……。
 電光寺先輩はこれらを非常に上手く演出していると思う。
 けっして、女言葉が上手なわけでもないし、あざとい演出に長けてるわけでもない。
 演じるということ、演出するということは何も「いかに上手く演技するか」、「いかに言葉を尽くすか」ではないのだとつくづく思う。

 それはそれとして、

 やるときにはやるのがD&D。これまでにも、いろいろとひどい目にあい、東の果てに飛ばされてからというものPCたちはすっかり無法が板についてしまっていた。たとえば、
 衛士のギルバートは武王の剣を手に入れどんどん性格は香ばしくなり、
「戦士の役目など簡単なこと、抜くべきときにぬき、納めるべきところに刃を収めればいいだけのこと」
「鞘にだな」
「敵の脳髄にでございます」
 などと言い出すしまつである。
 パーティの良心を自負していた美貌のクレリック、サーギュストもダンジョンの奥で、
「ここで、潜っておかないと次にどこのダンジョンでレベルアップできるかわからないじゃないか、それにマジックアイテムだってきっと奥にはまだ残っている」
 と主張しシーフのヴァレリアに呆れられている。
 はっきり言って東の平原からマルコポーロして西へ戻ってくる最中、もっとも常識的だったのはこのヴァレリアだった。
 けれど、最も悩んでいたのは逃亡皇女カレンをプレイしている神無月先輩であったろう。
 ダンジョンに潜るたびに頭に沸いてくるD&Dプレイヤーとしての最適戦略とキャラクターイメージの間で懊悩する姿は実にはたで見てて楽しかったです。

 今回のセッションではグラールの近況を港の噂として聞き、港湾城市の公女誘拐事件に巻き込まれたグラール貴族の娘を救う為に海賊のアジトを叩くと言うもの。実は、さらわれた娘は公女の取り替えッ子(チェンジリング)という伏線から、話がややこしくなるも、どうにか海賊を片付けることに成功した。
 その過程の中で色々と身もふたもないことがあったのだが身内の恥なのでここでは書かないで置いておこう。
 シナリオ最後で故郷グラールの政変を不信に思い独自に行動を続けるレジスタンスたちと接触。次回への引きとなった。ついでにシナリオ最後でこれまでの旅で手に入れた香料を高額で売り払い巌窟王状態になる。
 おかげでカレンのレベルが上がって7レベルに、4レベル呪文が使えるようになったので戦力アップ。
 そういえば、カレンもまたチェンジリングであったが、今回の公女のように本来のカレンに相当する人物はいるのだろうか?この辺が次回への引きではないかと考えている。