卓上戦諸録(D16)

D16の卓上ゲーム記録

Wizards Presents World and Monsters(その2)

 手すさびつづきー。
 フェイワイルドについて。
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 フェイワイルドは、とある世界を魔法的、幻想的に反映した世界。フェイやエラドリン、不思議な動物や野獣、エルフの一部、そしてその他多くの“この世ならぬ”者達の故郷。フェイワイルドはこの世界と同時に生まれた世界で、いかにしてかは定かではないがフェイワイルドそれ自体で成立している、この世界の偶発的な“写し”の世界だ。フェイワイルドはこの世界のいわば“うわべだけ“版であり、完全にこの世界を反映したものではない。明確な地形的特徴、たとえば山や海はフェイワイルドでも同じく存在するようだが、それらは元の世界の山や海とはまったく異なる。この世界では間近な場所と場所が、フェイワイルド版では遠く離れていたり、その反対にこの世界では離れた場所がフェイワイルドでは近くにあったりする。
 この世界で建物があってもフェイワイルドではそれに相当するような建物はない。実のところ、その原野風景のほとんどは文明に束縛されていない。一方で、エラドリンの貴族城はその輝く尖塔を聳え立たせている。しかしその城がある場所は、この世界では誰もあえて足を踏み入れないような闇の中なのだ。
 
 たぶん君は、フェイワイルドが幸せで魔法に満ちた森の楽園ではないかと思うかも知れない。もしそう考えているなら、何から何まで間違っている。そこは危険で、定命の者の見聞を遙かに凌駕する自然の美をたたえ、原初の神秘の精髄に満たされた黄昏の王国なのだ。その種の美しさは、望ましく朗らかなものともなり得る。しかし、それ以上に暗鬱で、おぞましく、謎めいて、敵意あふれるものともなり得るのである。
 
 その世界の住人には、ハグやイス・ハウンド、ケンタウロス、トレント、フォモール(フェイワイルドにおけるジャイアントの反映)、ユニコーン、エルフ、フィルボルグ、”荒涼の狩り(原文:the Wild Hunt)”などがいる。こうしたフェイたちは善良でも優しくもない。あるものは気が荒く、そしてまたある者は紛れもなく野蛮な者達である。以前の版では善良で親切な者達として表現されていたフェイ・クリーチャーですら、4版ではより辛辣で暗い側面を見せてくれる。フェイとの邂逅ややりとりは、恐れに身をおののかせるようなものになるだろう。
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 3版の『次元界の書』で出てた妖精界、精霊界を合わせてかつてのエーテル界のような役割を果たそうとしているのかも。
 エーテル界、アストラル界っていうのはいかにもD&Dで好きな人は好きだけど、逆にジェネリックなファンタジー世界にはそぐわない設定だった。
 3版次元界の書はそのあたりにいろいろ別アイデアを出していて、世界観自作派としては楽しかった。
 で、4版のこれなんですけどかなり楽しみ。
 たとえば、“丘の下の異郷”ってのは民話の基本なわけで、おむすびころりんやこぶとりじいさんなんて話がそのまま”フェイワイルドに迷い込んで、そこでいろんな目に遭ってきた”という物語にできます。フェイワイルドって残酷な民話を積極的に許容しているので、レッドキャップやハグなんかは民話のままの形で出せそうです。
 
 というか、「折れた魔剣」のエルフとトロールの戦の有様とかがそのままフェイワイルドじゃないか。だから、エラドリンって原初のエルフとしてかなり感情が豊かで行動が苛烈で、勢いよく過ちを犯して、盛大に悲劇を巻き起こし、狂ったり王国巻き込んで滅んだりする連中なんだと思うんですよね。
 フェイワイルドがこの世界の美しさとか暗い恐怖とか、神秘とかを過剰に強調した場所であるように、そこの住人たちはこの世界の住人に比べて、英雄的だったり叙事詩的だったりするのでしょう。というか、そう演出した方が楽しそうだ。
 
 あと、当然ながらフェイワイルドはケルトの民話や伝承と相性が良さそう。

折れた魔剣 (ハヤカワ文庫 SF (1519))

折れた魔剣 (ハヤカワ文庫 SF (1519))