卓上戦諸録(D16)

D16の卓上ゲーム記録

恋愛ディストーション

 帰ったらアマゾンから荷物が届いていた。「恋愛ディストーションISBN:4785919906ろったことになる。犬上すくねのなかではまるきっかけになった話なので休刊による打ち切りは悔しくて仕方ない。
 女性作家によるラブコメディなのだけど、青年誌連載ということがやはり微妙なねじれを生じていると思う。
 少女マンガという奴を「星の瞳のシルエット」しか知らないので、少女雑誌に載っているマンガとの比較はできないのだけれど、女性作家が青年誌に書く恋愛モノというのはやはり、どこかひねている。
 ひねているという言い方にマイナスのイメージが付きまとうなら、変化球という方にしようか。
 D16の中では「青年誌で恋愛ものを書く女性マンガ家」として一番衝撃的だったのは二宮ひかるだったのだけれど、犬上すくねはかなり近い位置に僕の中では位置づけられる。
 違いがあるとしたら二宮ひかるがあくまである程度経験を経た女性、性経験を男女の関係として既に通過した女性からを多く描くまたは主題にするのに対して、犬上すくねはその前、その入り口付近の女性とそれに関わるやっぱり入り口付近をうろうろしている男の子を書くことだろう。
 彼女らの書く女性はD16にとってとても魅力的だし、わかりやすく感じるし、ミステリアスな部分も「ミステリアスである」というわかりやすさに帰着できる。逆立ちしたってわからない女性の性ってものはあまり前面に出ていない気がする。吉田秋生の「吉祥天女」や「櫻の園」を読んだときの言い知れぬ距離感、断絶観を感じない。
 だから、「親しみやすい」。
 けれど、それは青年誌というフィールドが彼女らにそうさせているのではないか。その親しみやすさ、わかりやすさは擬態としての媚態なのではないか。
 まぁ、そんなところ詰めていったって野暮だし、騙されて幸せならそれでいいのだとも思うけれど。
 酔った末にふと出る本音を聞けたら、その女性の根っこを「つかんだ」気になるじゃないですか。ちょっとつかんでみたくなるんですよ。この作家達は。
 そう思ったから揃えてるわけで。