卓上戦諸録(D16)

D16の卓上ゲーム記録

4版現時点での感想

 この間、ようやくDM回数が10回越した。そのうちの4回がJGC(うち2回がHJの枠)である。
 最初のDAC-BITでのDM陣とのテストプレイがかなりぐだぐだで、さらにその後身内で数年ぶりにTPK(Total Party Kill:全滅)をやってしまったのでいろいろ戦々恐々としてたのだけど、いくつか見えてきて楽しみになってきた。
 各所で言われているとおり、これはシステム的には3.Xとは別物。さらにD&D由来の癖(特定アイテムや魔法のバランスなど)をあえてそぎ落として、一般的なファンタジーRPGに戻す志向がある。この辺、原D&DからAD&Dへの進化とクラシックD&Dへの2つの進化をD&Dがたどっていったのうち、クラシックD&Dへの志向に近い。
 3.X版は最新のノウハウを生かしてかつて見た美しいAD&Dの夢を現出させようとしてた。そして、それは成功した。ただ、その過程で重く、複雑になっていったのは否めない。目の前の選択肢を全肯定し、マルチクラス、特技のコンボを追求する楽しみを推し進めていけばそれは仕方ない。結果、自分の物でないキャラクターを使いこなすのは困難になり、使いやすさを意図したプレロールドキャラ(構成が見通しよく、何をすればいいか一目瞭然)は、その分キャラの能力がカスタムしたキャラに比べ低くならざるを得ない状況というのがでてきた。
 3.5版のキャラはカスタムしがいがある。そして、カスタムしたキャラで冒険するのは楽しい。
 けれど、そのカスタム自体が負担になることも、間違いなくある。
 
 4版はその辺、カスタムの手間をわりと省いている。現状、8クラスにビルド例が17くらい、この基本を特技と取得パワーで色を付けるといった感じ。特に特技は以前ほど爆発的な能力を持っておらず、クラスパワーの補佐・強化にとどまる。たぶん、誰が作っても、大体の性能は発揮できる。特定レベルのキャラクターは、そのレベルに応じた能力を発揮しうるので、箸にも棒にもかからないキャラというのはできにくくなっている。これは、すばらしいことだと思う。
 
 JGCで実感したのが4版ではPLたちはただちにパーティとして連携できるということだ。キャラクターのできることがはっきりとしているため、1回の戦闘で「自分が何をすべきか」理解し、「パーティのために次にどう動くか」を実行できる。DACでの話ではない、D&D経験者がヘタをすれば半分を割るようなJGCの舞台で、そうなのだ。3.5版の時にはここまでパーティは連携できなかった。一回目の戦闘で自分のできること、キャラの動かし方をどうにか理解して、二回目からパーティ間で意思疎通を取る試みがなされ、それがうまくいくかどうかでセッションのリズムが決まる。そんな初動の遅さが3.5版にはあった。いや、3.5版でD&D初心者対応する時にはあった。
 
 僕は3.5版はすばらしいゲームだったと思っている。そして、それをさらに発展させようとしているPathfinderもすばらしいゲームになるという予感がある。けど、D&D4版は3.5版とは違うベクトルで大変なゲームだという実感がある。
 D&D4版に、D&D3.5版の正統進化を求める人は4版を受け入れがたく感じるだろう。それは無理もない。はっきりと目的が違うゲームなのだから。けれど、「D&D4版がD&D3.X版ではなかった(Xには6以上の数字を適宜入れて下さい)」と言うのは不毛だろう。4版は3.X版ではなく、4版なのだから。
 
 でもって、4版はこれだけシステムを変えてても、やっぱりD&Dであるところは貫かれている。プレイしている時の緊張感や、自分にはできないことをしてくれる仲間と協力して困難に立ち向かう感覚、お宝を手に入れたり、成長によってできることが少しずつ変わってゆく興奮。
 
#個人的には、11レベル超、21レベル超の世界を早く経験しないと最後の言葉は責任を持って吐けないので早く何とかしたいところだ。
 
 この版替えでまた、新たな人たち、これまでの3版の蓄積に逆に気後れしていた人が入ってきてくれると嬉しいと思うし、そういった人たちが来てこそD&Dというおもしろいゲームの伝統をつないでいけるはずだ。そんなわけで、4版をこれからも紹介してゆきたいと思う。