卓上戦諸録(D16)

D16の卓上ゲーム記録

4版の戦闘について

 翻訳チームの岡田さんが自分の所の日記で書いている文章が、4版での戦闘を考えるのにとても示唆ぶかい内容なのでご紹介。
日記
 こちらの4月10日からの内容ね。
 4版の戦闘は各員がちゃんと仕事をして、撃破役が当ててダメージを与えられるようにする必要があるって言うのはいしかわさん所の記事でも既に触れられている。
【4e】タルい戦闘を回避せよ!

 ってーか、いしかわさんところで言う「4版はヒャッハーだ!」と岡田さんとこで触れられている「同じレベルのモンスターに対して、武器でACを攻撃するなら5〜9以上、それ以外の攻撃でAC以外の防御値を狙うなら8以上をロールせねばなりません。」で割と言い尽くされている気もするのだけど(笑)

 4版のモンスター・データとPCの攻撃ロールのバランスは注意深く設定されており、指針に従う限り岡田さんの上げた数値的バランスは低レベルから高レベルまで維持される。戦闘において必要なのはこの数値バランスをいかにして崩すか、ということになる。
 方法は幾つかあって、

 1)命中判定を上げる(そのためのパワーの使用、挟撃などの位置取り)
 2)敵防御値にペナルティを与える(防御値を下げるパワーの使用)
 3)攻撃機会を多くする(機会攻撃やファイターの標的、各種ウォーロードのパワーなどにより攻撃回数を増やす)

 なんてのがざっと考えられる。あと、かなり大事だけど忘れられがちなのは、

 0)敵の弱い防御値を見つけ、集中的に攻撃する。

 重装甲の相手には反応や意志の攻撃を、軽装高機動の相手には頑健を、術者系にはACをって感じ。
 見当がつかない時にはとりあえず、パーティ全員で担当防御値をバラして探ってみるのは悪くない。
 モンスター種別が兵士役であるならACが高く、暴れ役なら頑健が高い。相手の戦い方から見当をつけて狙ってゆけばかなり有利に戦える。
 ローグのピアシング・ストライクの優秀さがこれでわかるはずだ。アレは対反応の無限回攻撃で、しかも[武器]による攻撃なので習熟ボーナス+3が乗る。マジック・ミサイルよりも命中判定が+3高いということだ。それにダガーを使っていればさらにプラス1。戦術的優位を得ていれば出目が10、敏捷18の1レベルローグですら、命中20。期待値で5~6レベルの敵に命中させられる。
 これにクレリックのランス・オヴ・フェイスにライチャス・ブランドなどからボーナスが入るとさらに+2以上命中が良くなる。1)の実践である。
 このあたりまでは、割とみんな気がつく。
 その上で重要なのは、指揮役の長所能力値は高いに越したことがないってことだろう。彼らは回復系の能力でも活躍できるが、仲間に援護を与えるにはその攻撃の多くをヒットさせなければならない。そして、往々にして指揮役の攻撃がヒットしなければならない時というのは、戦闘の重要な局面なのである。
 というか、ボスに対してウォーロードのリード・ジ・アタックが当たるか当たらないかでその戦闘はまったく異なったものになる。

 ここまでは命中判定のお話。
 次が位置の話。
 
 4版の特徴は戦闘中にキャラクターが目まぐるしく位置を変えることだ。自分で動く時もあれば、動かされる時もある。どれくらい大変かというと戦闘詳解を書こうとすると匙を投げたくなるくらいで……いや、やりますけどね。敵を取り囲んでひまわりにする、されると言うのが戦いの基本になる。常に多対一の状況を作れるように動けということだ。ローグもしっかり敵に隣接するといい。大丈夫、君の側(もしくは敵を挟んだ向う側)にはファイターがいて、キッチリとモンスターをマークしてくれているハズだ。仮に君が殴られたとすれば、ファイターがそいつを殴ることができる。“攻撃回数を増やす”役割を果たせるというわけだ。
 というか、撃破役はダメージ喰らってナンボである。
 たくさんダメージを与えてたくさんダメージを被る。本当にやばい分はファイターが喰らってくれるだろうし、途中から嫌気が差してモンスターはファイターの方を殴り始める。それまで君がダメージを喰らうのは当然だ。君が撃破役としての役割を果たしているなら、きっと仲間が治してくれる、窮地からすくい上げてくれる。「4版はヒャッハーだ!」という言は正しい。というか、割と本気で4版の敵hpの設定って撃破役が毎ラウンドダメージ増加能力を使って削ることを前提としている気がする。上手いウォーロードとローグ(+ファイター)が連携して動くとローグは毎ラウンド急所攻撃を叩き込める。そうなると4版戦闘は軽快この上ない(ウォーロックやレンジャーは位置取りでダメージ増えないけど、上手く動かないと今度は当たらない)。
 逆に、ローグの急所攻撃が毎ラウンド乗らないというのは、敵が上手く動いているか、こちらの足並みが揃っていないかのどちらかだろう。
 話がズレた。位置の話である。

 先ほどピアシング・ストライクがスゴイという話をしたけど、位置取りの話で行けばタイド・オヴ・アイアンがスゴイ。当たれば大型サイズまでの敵を1マス押しやれる[無限回]パワー。いしかわさん記事で戦闘がタルくなる状況が上げられていたが、アレをやられた時のことを考えて見よう。撃破役を何とかして奥に届かせたいが叶わない。そういうときにタイド・オヴ・アイアンである。ずいずいと敵戦線を押し込み、突破口を開くのだ。

 そもそも、足払いや武器落としなどの多くの戦闘オプションがパワー化され、一般戦闘ルールから外れた中において、突き飛ばしはまだ基本戦闘ルールに残っていることを忘れてはならない。敵を移動させ多対一状況を作り出し、ダメージを集中、各個撃破というのは本当に4版戦闘の基本なのである。というか、タクティカル・シミュレーションの基本だよね。

 で、DM側の注意点。割と簡単。
 開けた平地で足止めた殴り合いさせるな。単調な攻撃を行なうな。
 これに尽きる。

 前述したとおり、4版の戦闘は数値的バランスが維持される≒平衡状態にある。
 その平衡を能動的に崩すのにパワーや位置取りに頭を使うのだけど、障害物や特定の技能の要求する地形要素によってさらに大きくその”バランス”を崩せる。さらに、それらの要素はPCもモンスターも能動的に利用でき、有利な位置の確保や汎用パワーの適切な使用などの作戦要素が追加されて、遭遇で執りうる手段を多様化させてくれるのだ。

 特に注目したいのがDMGにあるいくつかの罠や危険要因。敵の代わりに配置することでますます戦闘が混迷を増してくれる。このあたり、『ダンジョン・マスターズ・ガイド』附属シナリオはかなり意識的だった。
 で、話をさらに発展させると4版での罠って、こういう風に使うものなのだ。

 以前のように宝箱や扉に仕掛けてある「静的な罠」もまだ存在するけど、3.5版の出目20による〈捜索〉以来、こうした「静的な罠」はクラシックの時ほどのロマン、バクチ感は無くなった。どちらかというと不発弾処理的な作業になってしまったかも知れない。
 で、4版の罠だ。
 多くの罠は技能チャレンジという形で解除できる。簡単なものなら4回の判定(〈盗賊〉判定や〈魔法学〉判定など)で解除できる。即死罠だったら「静的な罠」としてこれの解除を試みるのもおもしろいが、戦闘の一要素として出た時がかなりおもしろい。
 ギロチンが落ちてくる回廊で、非実体のレイスたちに追っかけ廻されたり、水が充満しつつある部屋の中でゾンビと戦闘するわけだ。この状況を解決するためには技能チャレンジによる罠の解除が必要なのである。
 ……撃破役のローグが、だ。
 4ラウンドの間、撃破役が戦闘から外れて罠外しに専念(場合によっては敵から守ってやる必要すら!) これは、かなり辛い。アクション・ポイント使って1ラウンドに2回〈盗賊〉判定するのはかなりアリだろう。ちなみにこういう時のためにローグの2レベル版用パワーにはマイナー・アクションで〈盗賊〉判定をするパワーがある。これとアクション・ポイントを併用すれば1ラウンドに3回〈盗賊〉判定ができる。ちょっと取得を考えちゃうでしょう?
 魔法的な罠だとしたらウィザードが。
 落とし格子を持ち上げるのだとしたらファイターが。
 前述したとおり、各役割をきちんとこなして上手く戦闘が廻る4版戦闘において、PCの一人かそれ以上が戦闘以外のことに専念しなければならないというのはすごく楽しい。
 そして、こういう楽しさが4版の戦闘の楽しさなのだ。

 とりあえず、レンタルビデオ屋に行ってインディジョーンズやハムナプトラ、各種ハリウッド・アクション映画を借りてきて見て見よう。たいていはとんでもない場所で戦っていたり、単なる殴り合い+αの要素がある。
 それこそが4版でやろうとしている戦闘の一面なのだ。