穴鬼ヶ原DM記録:第1回
この間遊んだP1冒険、「King of the Trollhaunt Warrens」(私家訳題:穴鬼ヶ原の百鬼王)ですが、PLの一人、田中天(id:tentana)さんがご自分の日記で第一回目の感想をまとめて下さってます。
『穴鬼ヶ原の百鬼王』第1話 - 天日録
リンク先をご覧になるとわかりますが、何ともすばらしいPC達&冒険でした!
各自が自由に作ってきたように見えつつ、PC達のかみ合いはぴったりで、戦闘での安定感は抜群です。指揮役二人と言うことでダメージ不足を危惧したんですがそのウォーロードがひたすら攻撃を強化しパーティのダメージを増強し、ウィザードは広域撃破なみのダメージを与え、アーティフィサーがユーティリティと制御を行ない、ファイターとモンクが実ダメージをガンガン積み上げるというように、かなり前のめりな連携で、僕の予想は大きく外れることに。
田中さんの記事の方にもPC紹介がありましたが、同じく参加者の吉井さん(id:THOR)がキャラ性能についての紹介文を書いてくださいましたので、導入用のハンドアウトをあわせて、改めて紹介・寸評しようと思います。11レベルってこんな感じよ♪
江湖の快男児、“千手豹客”ヤン=ハイシュ
エルフ♂、モンク/レイディアント・フィスト
モンク解禁の報を受け世界に旅立った若きエルフ。エクストリーム婚活の途中、立ち寄ったゼランド男爵領で領主の息子・エセラン探索の任を受ける。ぬるぬる滑って連打を浴びせる程度の能力を持つ。
プレイヤーはRebisさん(人生半分ファンタジー)。
とにかく動く。よく動く。隙間があるとつるつる前線に食い込んでくる。んで殴る。動かす、投げる、転ばせる。撃破役でありながら制御役っぽい立ち回りも出来る点ではウォーロックに近いものがありますが、細かな敵移動能力と武闘派ならではの回避能力の高さは、安定して戦場をコントロールするのに一役買ってました。仲間にトスあげるのが上手いのね。
あとDMは「なにそのダメージ」って泣いてた。
ああ、泣いたとも! まさかモンクがあんなにダメージ出せると思わなかったからな!*1
D&D Insiderのプレビュー記事を使ったモンク。正式参入はPlayers Handbook 3から。
セッションに登場時は天さんのザラストロと夢枕獏的な快男児&超老人なやりとりがありまして、DMの脳裏では天野喜孝の挿絵がついた風に、ぬぅ、とか、ひゃう、とかいうひらがな擬音でやたら改行の多い文面が再現されておりました。
ところが、登場シーンはと言うとこんな感じ。
ヤン(Rebisさん):では、冷凍庫から出てきたように霜だらけで登場します。「お待ちください、私はドラゴンボーンの女性の胸というのがいかなるものかと……」見れば、ドラゴンボーンのメイドさんが今まさに冷気ブレスを吐いたところ。で、無駄に〈軽業〉的動きで立ち上がり男爵へ挨拶を……。
ザラストロ(田中さん):「ヤンめ、相変わらず女心というものを解さぬヤツだ」
バラザール(黒野さん):……今さらっと“ドラゴンボーンのメイド”とか新機軸を打ち出しましたよね(笑)
ヤン(Rebisさん):いや、食材を保存するときに便利なんですよ。
リメイン(吉井さん):ああ、火のブレスとかだとゴミ焼くのに便利そう。
DM:えー!?
ヤンが動く度に武侠時空が発生するのは当然なんですが、この導入はむしろ香港映画(ゴールデンハーベストのヤツ)の2枚目半キャラ。つまり、ジャッキー・チェンやサモ・ハン・キン・ポー系列だよなぁ(笑)
説明の通り、高機動の撃破役で制御役的に敵を移動させる能力もあります。パワーソースはPsionicですが、PHB3の他のPsionic系クラスと異なり、モンクだけはパワー・ポイントによるパワーの増幅がありません。なので、システムの運用的にはPHB、PHB2のクラスにかなり近いです。*2
撃破役としてのダメージ増加手段はFlurry of Blows(連打)です。ヤンはCentered Breath(内功門とでもしときますか)というStyleを修得しているので、Centered Flurry of Blows(“内功の連打”、“飛燕の内功”とかかな)と言う形になります。
これは自分のターンに己の攻撃をヒットさせたときに1ラウンド1回使えるもので、間合い内のクリーチャー2体に(【判断力】修正値+2)のダメージを与え、1マス横滑りさせます。ソーサラーと同じように、副能力値の修正値がダメージに追加されるタイプの撃破ですね。
モンクのパワーは言うなればほとんどが近接な呪文のようなもので、ダメージ自体は武器に左右されません([W]パワーがない)。従って武器系の撃破役に比べると少し低くなるかなと予想したんですが、ちゃんと作ると能力値の修正だけで+10以上がダメージに追加されるので十分な火力でした。
さらにPsionic系クラスの特質として、持っているパワーの柔軟性があります。詳しい説明は省略しますが、モンクの場合、二つの用法のあるパワーと言うのがあり、攻撃用に使うとダメージを与えるけど、移動用に使うと移動速度を向上したり跳躍が高まったりします。能力値としては【敏捷力】を主【判断力】および【筋力】を副次的に使います。したがってエルフとの相性はばっちり。
そしてRebisさんはこのヤンにアベンジャーとのマルチクラス特技《信仰の英雄》を取得させ、伝説の道、レイディアント・フィストによってチャネル・ディヴィニティ、《テンパスの正義の怒り》も獲得、武神テンパスのアベンジャーにしてモンクとなりました。 アベンジャーのオース・オヴ・エンミティによってd20を2回ロールし、外れそうならエルヴン・アキュラシィ。もちろん当てる前にライチャス・ラス・オヴ・テンパスを使用しているのでダメージ大幅増加という、(英語アップデートを全部適用してもなお)DMからすると極地核を積んだ誘導ミサイルみたいなキャラです。
しかもまた能力値とマルチクラスの相性が良いんだ(泣) 【判断力】と【敏捷力】がどちらも無駄にならない。それにモンクは必要な能力値がちょうど良くばらけるので防御値も高い……。
現時点ではまだ穴を見つけられないキャラに仕上がってます。
さて、そんなヤンが選んだ導入はこちら。
導入:あなたはゼランド男爵領の住人であり、男爵の信頼厚い腕利きである。これまでも男爵領でさまざまな功績を成し遂げてきた。
ある日あなたはゼランド男爵の元に呼ばれる。そこには憔悴しきった男爵の姿があった。
「我が子、エセランが戻らぬ」彼はそう告げた。彼の長子エセランが辺境から帰還していないのである。すでに帰還すべき期日は過ぎてしまっている。もとより辺境の防衛という任務であり、危険はあった。
しかし、エセランはあなたとも共に旅したことのある剛の者。さらに彼はこの男爵領の権威たる宝剣「陽光の憤怒」(Sunwrath)をその腰に帯びていた。名剣とその技前あってまだ戻らないとなれば、何かがあったのは間違いない。
ゼランド男爵はあなたに、男爵領の辺境へと旅だったエセランとその仲間を捜し出してきて欲しいと依頼した。クエスト経験点:500(副次クエスト)。エセランとその仲間達の結末を見いだし、ゼランド男爵に知らせを持ち帰る。男爵は情報の謝礼として1000gpを支払う。
この導入はシナリオで用意されているもののひとつで、一番プレーンな依頼型です。
実際のゲームでは、ザラストロと一緒にゼランド男爵の食客としていたところを、リメインから戦いの噂を聞いて“月のきざはし”に招かれたという形で参加しました。
P1シナリオに限らず、この連作シリーズでは各種のHookつまり導入が用意されてます。この導入、冒険の中のいろんな伏線や情報が含まれてまして、なるほど重要。複数あるってことは一つの事件の背景を複数の視点や切り口から捉えられると言うことで、できるならPC達にはたくさん知って置いて欲しい。
H3からの続きならば、H3の終わりや合間に伏線として張っておき自然に導入するというのが最善ですが、今回は単体で開始したので「PC一人一人にばらばらにクエストを渡し、状況説明にしよう」と。カオスフレアやダブルクロスでの“シナリオハンドアウト”的に副次クエストを使ったんです。これ、11レベルというある程度歴史のあるキャラを冒険に引き込むのに良い感じでした。*3
明日もキャラ紹介とDMコメントを二人ほどする予定です。
Player's Handbook 3: A 4th Edition D&D Core Rulebook
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